読書感想:ひきこまり吸血姫の悶々4

f:id:yuukimasiro:20210113230556j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:ひきこまり吸血姫の悶々3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さぁーて(以下二回目につきマンネリを危惧したのでイカ省略)。そんな微妙に滑っているであろう寸劇はいったん脇にでも置いておいて、ひきこもりたいけれど最強の力に邪魔をされる我等が主人公、テラコマリ。全ての種族を巻き込んだ大戦も一段落し、ようやく落ち着いて休めてひきこもれる・・・訳もなく。やっぱりどうしたって引きこもれないのがこのシリーズな訳である。

 

戦いも小休止、かと思えば前巻で盟友となった遥か東の国、天照楽土に属するカルラ(表紙左)に誘われ、外交使節として赴く事になるコマリ。

 

辿り着いたは桜花舞い踊る雅かつ風流な和の国。そんないつもとは違う日々の中、とりあえずのんびり・・・という訳にもいかず。奇しくも天照楽土は今、国の長である大神の後継者を決める天舞祭というお祭りで盛り上がっていた。

 

そうは言っても他国の争いである。外交使節として訪ねてきている自分には関係が無い、筈だった。

 

だが、そうは問屋が卸さないとばかりにとある事件の嫌疑をかけられ挙句の果てに、天舞祭の戦いの中へカルラ陣営の一員として巻き込まれる事になってしまって。

 

 コマリにとってこの戦いは避けられる戦いの筈だった。関わらなくても良い筈だった。しかし彼女は目撃してしまった。カルラという一人の少女の内心、そして夢を。

 

天神として生きる事を求められ、だけど心は戦いを拒む。自分には誰にも譲れぬ夢、お菓子の店を出すと言う夢があると心が叫ぶ。

 

それはまるで、何処か自分のように。今まで生きてきた境遇は違えど、自分とカルラは何処か似ていた。

 

 だからこそ今、見逃す事は出来ない。ならばこそ、コマリは今、自分の足で戦場へと向かい、カルラの手を引き勝利の為に駆ける。あの今まで受動的であったコマリが、初めて自分の意思で。

 

「・・・・・・コマリさん。私に力を貸していただけませんか。覚悟ができている、といったら嘘になるかもしれません。でも・・・・・私は大神になって天照楽土のことをもっと知りたい。だから、お願いです。どうか私と一緒に戦ってください」

 

その姿に優しく背を押されるかのように、カルラもまた自らの意思で立ち上がる。

 

「かるらのゆめを、ばかにした」

 

そしてカルラの夢を笑った賊へと繰り出されるは新たなる力。流れる時を味方にする、正に最強無敵の一撃。

 

今までとは違う行動、芽生え始める力への自覚。そして動き出す、テロリストたちの魔の手。

 

いよいよここから、本番とばかりに動き出す今巻。

 

だからこそ、きっとここから全ては始まる。その様を是非、見届けてほしい。

 

ひきこまり吸血姫の悶々4 (GA文庫) | 小林湖底, りいちゅ |本 | 通販 | Amazon