読書感想:辺境都市の育成者2 再来の宝玉

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前巻の感想はこちら↓

読書感想:辺境都市の育成者 始まりの雷姫 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

さて、実質的なエピソードゼロと言っても良いであろう、始まりとなった前巻の時系列から二年。前巻で末弟子となり、雷龍を討伐し特階位へと成り上がったハルの弟子、レベッカ。そんな彼女は辺境都市への一時帰還を宣言していたが、あの後どうなったのであろうか。

 

まぁ無論の事、すぐに帰れるわけもなく。雷龍素材の競売の為の処理があったりとすぐに帰れるわけでもなく。

 

二年の間、お世話になった帝都のクラン、「盟約の桜花」。そこに属する姉弟子、メルと兄弟子、トマと共にレベッカは謎の悪魔の討伐依頼へと繰り出す事となってしまう。

 

「メル、トマ。此処は私がやるわ。貴女達は休んでいていいわよ?」

 

レベッカ、此処は姉弟子に譲る場面です。そして、ハル様からお褒めの言葉を♪」

 

無論、ハルに会えるかもしれないという未来がかかった場面に出くわしてしまった悪魔の運命はお察しである。だが、この悪魔に埋め込まれていた欠片が二年前の一件と繋がり、新たな事件の引き金となる。

 

結果の報告の為、いよいよ辺境都市へと出向くレベッカ。しかし、彼女に予期せぬ出会いが訪れる。

 

その出会いの主とは、かつてハルの弟子であり人類史上最高の宝飾師であった「宝玉」の異名を持つ女性、カガリの孫娘であるタバサ(表紙)。十大財閥の跡取りにして、彼女の才覚を間違いなく受け継ぐ未完の大器である。

 

廃教会のあれこれを見て興奮するその様に、二年前の自分を思い出し。

 

だが、そんな感傷に浸る間もなくハルは淡々と、衝撃的な話を始める。かつて世界に存在した三柱の神、その一体であり人を滅ぼさんと戦いを挑んだ「魔神」を復活させようとしている連中がいる、と。その連中に対抗するためには、カガリの力が必要だった、と。

 

今その代わりが出来る可能性があるのはタバサのみ。唐突に突き付けられた未来の選択肢に、幼き彼女の心は揺れ惑い。

 

だが、そんな彼女を嘲笑うかのように、彼女とその家族を狙った、とある組織の思惑が牙を剥く。

 

そして、その組織は数々の偉業を為した「六英雄」が一人、「全知」の遺児達。ハルにとって、深き因縁を持つ者達であった。

 

「・・・・・・『全知』ならば、今は怒鳴るのではなく、『そうかなぁ』と笑っていた。僕は彼を殺してなんかいない。もう少し話をしたいな」

 

果たして、ハルは何者なのか? 「全知」を知るかのように語る、彼は一体何者なのか?

 

ハルの視点でもレベッカの視点でもなく、多人数の視点それぞれからまるで群像劇のように語られ始める今巻。いよいよここからが本当の始まりなのだ。全ての。

 

前巻を楽しまれた読者様、やはり王道ファンタジーが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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