読書感想:辺境都市の育成者 始まりの雷姫

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問:偉大な指導者と言えば?

 

答:三年B組 金八先生(世代がモロバレな答)

 

さて、この作品の作者である七野りく先生と言えば、同じくファンタジア文庫で現在大人気を博しているシリーズ、公女殿下の家庭教師シリーズの方でお見知り置きな画面の前の読者の皆様も多いであろう。だがしかし、カクヨムの作者頁を見ていただければ分かるが、七野先生は数々の作品を手掛けられている。そして、実は公女殿下の家庭教師シリーズと同時期に受賞していた作品がこちら、辺境都市の育成者シリーズなのである。

 

ではこちらの作品は一体どんな作品なのか。

 

公女殿下の家庭教師シリーズは、アレンという教える側からの視点で描かれるストーリーである。対してこちらは、今巻の主人公である伸び悩む冒険者の少女、レベッカ(表紙)を軸に教えられる側からの視点を中心として描いていく作品である。

 

伸び悩む彼女が聞きつけた噂。それは辺境都市に様々な最強の冒険者の師匠である育成者と呼ばれる人物がいるという事。

 

その噂を一抹の希望に辺境都市へと向かった彼女が出会った謎の人間。それこそが育成者と呼ばれる謎の青年、ハルであった。

 

ハルという人物は一体どんな人物であるのか?

 

公女殿下の家庭教師シリーズの主人公であるアレンと比較すると、物腰丁寧なアレンに比べハルは何処かお調子者で言動が軽薄な胡散臭い人間である。

 

だがしかし、アレンと同じく弟子への愛情のかけ方は優しく、まるで家族のように弟子を愛し鍛え上げる。そしてアレンと同様、もしくはそれ以上に育成者の名に相応しい圧倒的な強さを持っているのである。

 

 

レベッカを鍛える為にパーティを組み、彼女を狙おうとする下種な冒険者をまるで塵芥のように殲滅し。

 

すれ違いから拒絶された時は落ち込むけれど、彼女が窮地に陥った時はどこからともなく駆けつけて。

 

「すまないね。消えておくれ」

 

そして圧倒的な力を以て、目に見える絶望を一撃で粉砕して見せる。

 

公女殿下シリーズとはまた違った視点と、何処か違う師匠の強さの描き方。

 

だけど、根底にあるのは同じ。圧倒的な筆致で描かれる王道に面白いファンタジーであるという事である。

 

画面の前の読者の皆様は心が燃えたいだろうか、心が躍りたいだろうか。

 

ならば、この作品を読んでみてほしい。特にファンタジー好きな読者様は是非。七野りく先生の作品が好きな読者様も是非。

 

そして、この巻は言わばエピソードゼロである。一冊まるごとを使って描かれる伝説の始まりにして、全ての始まりを描く前日譚なのである。

 

故にこそ、ここから歩き出し全ては始まる。育成者と最強の弟子達の伝説はここから動き出す。

 

だからこそ、敢えて私はこう言いたい。

 

お楽しみは、ここからだ。

 

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