読書感想:極剣のスラッシュ ~初級スキル極めたら、いつの間にか迷宮都市最強になってたんだが~

 

 さて、時に画面の前の読者の皆様はウルトラマン、特に初代はご存じでなくともスペシウム光線という必殺技はご存じであろう、多分。 溜めもなく放って幾多の怪獣や異星人を吹き飛ばしてきたかの光線、実は宇宙警備隊というウルトラマン達の多くが所属する組織で最初に習う基本技であるというのはご存じであろうか。かの技を身に着けてから様々な必殺光線技に繁栄させていく訳であるが。かの基本技を必殺技として唯一無二まで高めているのは、初代ウルトラマンだけと言える。

 

 

と、まぁそんな前置きから始めさせていただいた訳であるが、この作品はウルトラマンとは全く関係はない。しかし基本技を唯一無二、という段階まで高めていったという点においては同じなのである。

 

邪神の骸が生み出した世界最大の迷宮がある、とある異世界。魔物と戦う為に神様に与えられた「ジョブ」というものが存在するこの世界で。剣士である少年、アーロン(表紙中央)は敢え無く所属していたパーティから卒業、という形で追放されてしまった。何故かと言うと、本来成長するはずのジョブが初級で成長が止まってしまったから。やむを得ずソロで攻略する事となって。ここで本人も気づかぬ間に、覇道が始まっていく。

 

最初は周りから蔑まれ、知った事かと頑張って。自身の武器である木刀を自分で作るようになったら、いつの間にか木刀職人として一部探索者から崇められ。ダンジョン内で絡んできた少女、フィオナ(表紙右)を退けたら彼女の負けず嫌いの心に火をつけてしまい、何度も戦う中で気が付けば師弟の様になっていき。気が付けば追放から十二年、少年から青年になる中、スタンピードの核となっていた魔物を自身のスキルで片付けた事で。彼も知らぬうちに、「極剣」という異名を持つ謎の探索者として認識される事に。

 

「ちょっとアンタ、面、貸しなさいよ」

 

そんなある日、依頼を受けようとしたらいつも通りフィオナに絡まれ。命がけにも見える模擬戦を見守る影が一つ。迷宮を守護する四名家の一つの、次期後継者であるエヴァ(表紙左)。彼の実力に注目し、エヴァは迷宮踏破隊という組織に彼をスカウトしようとする。

 

「だが、あれが誰かによる殺人だったなら、俺がやるべきこともあるだろう?」

 

彼女が齎したのは、アーロンが片付ける中で友人を亡くしたスタンピードは、実は誰かの仕業であると言う事。 それならば是非も無し。お礼参りをする為に加わり、実力を侮る踏破隊の面々も模擬戦で黙らせて。皆で向かっていく先は、迷宮の奥深く、未知なる階層。

 

「悪いがそろそろ終わらせるぞ」

 

ドロップ品を探したり、新たな武器を創ったり。そんな冒険の最後、襲い掛かるのはボスの力を吸収した、アーロンを疎む探索者。まさに龍な力を手に入れた敵に、ただの木刀で戦えるのか。心配はいらぬ、何故なら彼の一撃は、最強であるのだから。

 

勘違いと誤解しつつ、熱く無双していくこの作品。熱めな物語を読んでみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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