読書感想:パワー・アントワネット

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は自分を鍛える事はしておられるだろうか。筋トレという己を高める行いに邁進されている、という事はあるだろうか。

 

とりあえずまず、この表紙の美女を見てみてほしい。上腕二頭筋がキレッキレである。それどころか全身の筋肉がキレており、正に仕上がっている。二頭がアルプス山脈である。ナイスバルクという掛け声が何処かから聞こえてきそうである。

 

ではこの彼女は一体誰か。その正体は、マリー・アントワネット。かの歴史で有名な悲劇の王妃である。

 

何を言っているんだという画面の前の読者の皆様、どうかそういうものだと思って受け止めてほしい。とりあえず理解してほしい所は、この作品のマリー・アントワネットは決してか弱い王妃などではなく、筋肉がキレている強き乙女という事である。

 

そもそもこの作品の作者である西山先生は、本当の意味ではまだデビューしていない。何故なら新人賞受賞の作家だから。そのtwitterのアカウントでつぶやいた一発ネタがあれよあれよという間にバズり、巡り巡って本来のデビュー作よりも前にデビュー作となった、ラノベ界を見ても他にいないだろうという経緯でデビューされた経緯の持ち主である。

 

では、一体この作品はどんな作品なのか。言うなればこの作品は、フランス革命の歴史をなぞる作品であり、革命期の混乱が展開される中、マリ―の処刑が大衆の面前で行われる事から始まる。

 

「私はフランス。たった一人のフランス」

 

が、しかし。前述した通りこの作品のマリーは筋肉キレッキレである。彼女がただ殺される訳もなく、ギロチンの刃を素手で止めると言う、違う意味で衝撃的なシーンよりこの作品は幕を開ける。

 

そもそもこの世界における宮廷舞踏会は宮廷武闘会である。「御留の儀」である。どこの世紀末なのかと思うかもしれないが、そういう筋肉な世界観なのである。

 

そんな世界のマリーが大人しく亡命なんてしたりするわけもなく。彼女は子供達を助け出し、真の筋肉(ルビ:フランス)を取り戻すべく戦いを始める。

 

そんな彼女は、一人ではない。頼れる大切な仲間達がいる。

 

「パリで一番のお店、『オ・グラン・モゴル』へようこそ! 今日はどうするよ~!」

 

マリーの武術服を幾多も作り上げた、パリピな最強の職人、ローズ。

 

「お待ちしておりました、王妃」

 

変装と諜報の達人、マリ―の騎士であるデオン。

 

「全軍突撃ォォォォォォ」(ルビ:チェスト)

 

脳筋と書いてインテリと読む、騎士の中の騎士、フェルゼン。

 

「も、もうボクは守るって決めたんだ。ごめんなさいご先祖様たち! ボクはボクの意思で正義の剣になる!」

 

そして、医師であり万人にとって公平な正義の守り手、サンソン。

 

頼れる仲間達と立ち向かうは、ロベスピエール率いる悪しき筋肉を身に着けた革命軍。マリーの永遠の好敵手たるデュ・バリー夫人。

 

「新時代の幕開けよ! 筋肉(ルビ:フランス)に抱かれて眠りなさい!」

 

交わされるは、筋肉と筋肉の熱い咆哮。キレッキレの筋肉がこれでもかと躍動し暴れ回り、綺羅星の如く戦う彼女達の筋肉が絶望を覆す鍵となる。

 

この作品、この圧倒的な筋肉を画面の前の読者の皆様は受け止められるだろうか。受け止められるという読者様、筋肉が好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

「言ったでしょう! パンが無いなら己を鍛えなさいと!」

 

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