前巻感想はこちら↓
https://yuukimasiro.hatenablog.com/entry/2020/11/07/150846
さて、軽く読める歴史の分岐、あっさり始まる誰も知らない歴史。既にもう未知の領域に入っている本作品、果たしてこの二巻ではどんな方向へと進んでいくのか。
既に戻れぬ、元の世界へは。もうこの世界に根を下ろしていくしか道はなし。前巻でもそれとなく言われていたが、その事実からは目を逸らす事は出来ぬ。
そう、やはり真琴はもうこの世界、戦国時代から進む未知の時代の人間であるという事である。それは平行世界の一つの可能性の未来という形で描かれる。
そして、今まで只の客人という立場で比較的自由な立場で生活していた真琴にも転機となる機会が訪れる。それは、信長様からの命による近江に建設中のお城、大津城の城主拝命である。
考えてみると当然であるかもしれない。何故なら真琴の婚約者は茶々である。義理とは言え、信長の娘である。つまり結婚する以上、信長の縁戚に入り信長一門の一人となる事であり、その為には城の一つくらい持っていなくては格好がつかぬ。
が、しかし。その一報を聞き焦りを募らせ恋心を募らせる少女が一人。それは、真琴のお世話をする少女の一人、桜子(表紙)である。
それもまた必然であるのかもしれない。何故なら彼女が恋した少年、真琴はどんどんと出世していきあっという間に幕府の心柱となった少年である。そして、彼の婚約者である茶々は信長様の義理の娘である。言うまでもなく天と地ほどに身分が違う。これもまた、戦国時代の日本に深く根付いていた身分制度の一つである。
「桜子、どうした?」
「恥をかかせないでください」
なればこそ、恋心を暴走させた桜子が夜這いをかけてくるのも必然であるのやもしれない。恋して慕うだけでは手に入れられぬこの時代。だからこそ、強引にでも取りに行く気概がなければ戦国時代では生き延びれぬ、それもまたこの時代の摂理であるのかもしれない。
本格的に始まる信長様の幕府。延暦寺を始めとして不気味な動きを見せてくる者達。そして、真琴と茶々の結婚。
「これは我がこの地を預かる号令ぞ、放てぇ」
鳴り響いた号砲は、新たな時代の本当の意味での始まりを告げる音となるか。果たして、新たな時代は本当の意味で始められるのか。
プロローグである前巻を経て本格的な始まりとなるのが今巻であり、ラブコメもまた真の意味で始まりとなり新しい面白さが足されるのが今巻である。
前巻を楽しまれた読者様、やはり軽めの歴史ものが読みたいという読者様は是非。
きっと楽しめる筈である。