読書感想:いずれ嫁になる幼馴染がただただ可愛い

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。両片思いは正義、幼馴染はもっと正義。もしそんな理屈が押し通れるのであれば、その二つが重なり合ったら大正義と言えないだろうか。

 

そんな妄言はさておき、この作品について感想を書いていきたい。

 

さて、ではこの作品はどんな作品であるのか。そう思われる読者様はまずはタイトルを見ていただきたい。

 

「いずれ嫁になる幼馴染がただただ可愛い」、以上説明終わり。解散。

 

・・・無論冗談である。が、しかし。説明は既にタイトルで終わっている。

 

そのタイトルが示す通り、この作品は主人公である高校二年生、倫太郎とヒロインである幼馴染の後輩、撫子(表紙)。そんな二人のお話であり、何でもない日々を積み重ねていくお話なのである。

 

この春から撫子が倫太郎と同じ高校へと入学し、また始まった二人の時間。

 

何をしようか考えて。二人で出した結論、それはどこにも属さず二人で心ゆくまで遊び回ろうという事。

 

幼馴染という属性の強みか。まるで何も遠慮し合う事のない親友同士のように、仲良く二人で日々を重ねる二人。

 

そんな二人はお互いが好きで。いつか告白してその先へ、と思っていてもまだ告白をしていない友達以上恋人未満な二人で。

 

が、しかし。それで済む訳がない。

 

「先輩の顔には似合わないっす。ちょっとアレンジしてみていいっすか?」

 

いつもとは違う髪型に、まさか好きな人がいるのかと不安になった撫子の行い、それはいつもの髪型にさりげなく戻すという事。

 

「望むところっす! ひとりで寝られなかったら泊まりに来てもいいっすからね! 枕をもう一つ用意して待ってるっす!」

 

「それは俺の台詞だ! いつ来てもいいように部屋を掃除して待っててやるぜ!」

 

突然のアクシデントでホラー映画を見る事になり、意地を張って飛び出した二人の言い合いの台詞がこれである。

 

「そろそろ家を作らないっすか?」

 

「だな。素材はたっぷりあるし、立派な家を作ろうぜ」

 

「どうせなら実際に住んでみたい家がいいっすね」

 

「実際に住みたい家ってーと・・・二階建てか?」

 

「二階建てっす。先輩、子供は何人欲しいですか?」

 

「三人は欲しいかな」

 

試験勉強の合間、協力してクラフト系のゲームをプレイする二人の何気ない会話がこれである。

 

さて画面の前の読者の皆様、今貴方が何か疑問を抱かれているのならばその疑問はきっとおかしくはない。付き合っていないのにこれである。これで付き合っていないのである。

 

付き合ってはいないけれど、お互いをいつの間にか結婚相手と捉え、その未来が来ないとはみじんも疑わない。

 

もう嫁になれよ、・・・いやそのうちなるか。

 

そんな言葉も漏れそうな程に、両片思い実質夫婦未満な二人が何でもない日々の中で愛おしさを積み上げていくそのさまに、まるで砂糖を直接心臓に流し込まれるかの如く。

 

甘さの極みともいえる甘々っぷりにじれったさとこそばゆさを覚え。

 

そんな日々が最低限の人物のみで。恋敵もおらず親友枠すらもいないが故に何処までも真っ直ぐに描かれて。

 

だからこその甘さに心撃ち抜かれるかもしれない、甘くて尊いこの日常ラブコメ

 

なんでもない日常が好きな読者様、ラブコメ好きな読者の皆様にもお勧めしたい。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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