突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は一人暮らしをしているときにお隣の生活音が聞こえてきてどこか煩わしい思いをされたことはあるだろうか。でももしこの作品の主人公のような思いであれば、画面の前の読者の皆様も体験してみたいのではないだろうか。
主人公である、一人暮らしする高校二年生、田中啓太。彼のアパートのお隣さんが表紙を務める才色兼備なヒロインの先輩、雪菜である。
才色兼備であり物腰柔らか、だけど何故か啓太にだけは心を折るかのように毒舌を繰り出し、息をするようにプロレス技をかけてくる。
普通に考えれば嫌われていると考えてもおかしくないし、心が折れていてもおかしくはない。しかし、啓太は決してめげる事はない。それは何故か?
その理由とは、アパートの壁を通した先で彼女の本音が次々と炸裂しているのが聞こえてしまうから。その本音が彼が大好きというデレが存分に溢れ出した甘々な言葉の数々であったからだ。
啓太に距離の近い後輩、樹里が啓太に迫っているのを見て嫉妬してしまったり。
中二病な留学生、シャルロットが啓太と仲良くしているのを見て思わず毒舌を炸裂させてしまったり。
そんな日の夜は落ち込んで弱音を吐いて、だけどいつか彼に好きと言いたいから。だからまた立ち上がる。
ここまで読んでいただけた読者の皆様であれば分かっていただけただろうか。この二人、何処からどう見ても両想いである。しかしこの二人は付き合っていない。恋人未満である。
素直になれなくてツンツンしちゃって、誰も見ていない所でしかデレデレできなくて。
でもそんな彼女の本心を知っているからこそ彼は彼女を受け止められて。
「啓太くん・・・・・・いつも可愛くない私に優しくしてくれてありがとう」
だからこそ、壁越しじゃなくてもほんの少しだけでも、心の扉を開いて出てきた本音とデレが可愛らしくていじらしくて甘く心をくすぐるのである。
ツンデレの一つの極致であり、素直になれないだけだからまるで氷の刃の如く投げつけられる毒舌も可愛くて。
そんなデレデレで甘々可愛い先輩がいじらしくて愛おしくなる、思わず頬がにやけてきてしまうラブコメ。それがこの作品である。
可愛い先輩に悶えたい読者様、甘ったるくてじれったいラブコメが読みたい読者様には是非お勧めしたい。きっと満足できるはずである。