読書感想:紙山さんの紙袋の中には1

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方はコミュニケーションをどう取っていいか悩む相手と言うのに出会ったことがあるだろうか。もし会ったという事がある読者様は安心してほしい。この作品のヒロイン達以上に取りにくい相手はそうはいない筈である。

 

では早速見ていこう。まず表紙、ここで既にぶっ飛んだその姿をさらしているのはこの作品のヒロインである紙山さん。彼女は何故かいつも全身びしょ濡れである、貴方は濡れ女かとツッコミたくなるほどに。そして何故か、いつも頭に紙袋を被っている。しかもどんな場でも取りはしない。ついでに怪力である。

 

この時点でどういう事なのとツッコミたい画面の前の貴方はきっと間違っていないが待ってほしい。このヒロインに負けぬ程に個性が強すぎるヒロインがあと二名もいるのである。

 

黙っていれば清楚系、だけど制服に並々ならぬこだわりを持ち制服状のレインコート(!?)を自作してしまうほどの制服好き、日向。

 

常に魔法少女のパネルを持ち歩き、そのパネルとしか会話しない(よく今まで生きてこれたものである)ツンデレコミュ障、春雨。

 

そんな彼女達と出会ってしまい何だかんだと持ち前の善性で変人達に巻き込まれてしまった、平穏を望むこの作品の主人公、波人。彼が彼女達のコミュ障を治すべく作ったのがこの作品の主な舞台となる新たな部活、「会話部」である。

 

現実だったら認可されなさそうな部活は何をするのか。それはコミュ障な美少女達を社会に馴染ませる為の部活動。

 

皆で海に行ったり、紙山さんの家で合宿したり、皆で買い物に出かけたり。

 

その最中、判明するのは衝撃の真実。それは紙山さんと波人に過去の関りがあり、彼女が紙袋を被るのは波人に切っ掛けがあったこと。

 

その事実を知り悩む彼を救うのは誰か。それこそ会話部の面々である。

 

「俺は・・・俺はお前らに相談してもいいのか?」

 

確かに最初は成り行きでも。今まで共に過ごす中、確かに育まれてきた絆があった。いつの間にか四人でいるのが普通な、仲間の輪が出来ていたから。

 

ちょっとヤバい奴等と繰り広げるドタバタコメディであり、彼女の為に皆で頑張るほんの少し甘い真っ直ぐなラブコメ。この作品を評するならそんな所だろうか。

 

でもだからこそ、真っ直ぐなラブコメが際立ち面白いのである。

 

新人賞の新鮮な面白さ、粗削りだけど瑞々しいラブコメに触れたい読者様は是非。きっと満足できるはずである。

 

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