前巻感想はこちら↓
青春はいつだって本気だ。そして本気だからこそ、青春は美しいのである。
さてさて、ソシャゲ開発、運営という中々の未知なるジャンルへと焦点を当てたこの作品。二巻となるこの巻では何を描いていくのか。
その答えとしてはぶつかり合いを経て深まる絆、そして甘酸っぱくて瑞々しい青春ラブコメという事になるであろうか。
廃部を乗り越え訪れた夏休み。海には行かないけど水着を見たりとほんの少しの非日常。そして解と七花達が挑む事になったのはゲーム開発の出来を競う大会。
そこで相手として立ち塞がるのは金任せと悪評が噂の金剛院学園の美麗。そして解達の新たな仲間としてやってくるのは声優志望の新入部員、藍奈(表紙)である。
今まで四人だった彼等に新たな因子の五人目として加わる藍奈。中々にいい感じの性格をしていた彼女は実は絵留とは浅からぬ因縁を持つ少女だった。
その因縁の根底にあったのは「本気」という感情のすれ違い。それは今も持っている感情であり、今もまた同じように二人は同じ場所にいる。
だからこそ、分かり合うには絵留と藍奈はぶつかり合う必要があったのだろう。本気でぶつかり合ってぶつけ合って、だからこそ分かり合えるのだ。
そして、そのぶつかり合いを経ての和解が彼等の絆を新たな形として纏め上げ、一つのチームとして更に強固な形へと編み上げて。
新たな信頼、新たな絆。それこそが解の覚悟を決める鍵。そして勝利につながる最後のピース。
だけど忘れないでほしい。本気なのは美麗だって同じ事を。
本気だから喜べる、本気だからぶつかり合える、そして、本気だから負けたら悔しくて涙があふれてしまうから。
そういう意味では、この作品の登場人物にはそれぞれの物語があり、だからこそ誰もが主人公なのである。
新しいチームで掴んだ勝利。その中で少しだけ始まっていく、解と七花のまだ名前のない甘酸っぱい関係。
一巻が始動の巻であるなら、この巻は飛躍と跳躍の巻、そう言って差し支えない。私はそう断言したい。
真っ直ぐ本気だからこそ熱い青春が見たい読者様、前巻を読んだ読者様、真っ直ぐで王道ど真ん中の瑞々しくて甘酸っぱい青春が好きな読者様。皆様揃ってこの巻を読んでみてほしい。
きっとあなたも満足できるはずである。