読書感想:弱小ソシャゲ部の僕らが神ゲーを作るまで1

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突然ではあるが画面の前の読者の皆様、貴方は嵌っているソシャゲってあられるだろうか。もしくは、仲間達と情熱を注ぎこんで、何かを共に作り上げたという経験はあられるだろうか。

 

さて、この作品中の日本では「IT促進法」なる謎の法律が存在している。ではその法律が存在している事で何が起きているのか。その答えは、学生の部活としてソシャゲ制作と運営が奨励されているという事である。

 

学生がゲームを作るまでは、何処かのライトノベルで前例があったかもしれない。しかし、ソシャゲという今流行のゲームを題材にしたことはあるだろうか。ましてや運営なんて裏方の仕事を題材にしたことはあっただろうか。私の知る限りではない筈である。

 

そして、この世界においてはそんな誰も見た事が無い日常に全力を賭けている子供達が存在しているのだ確かに。

 

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主人公である解は名門高校でソシャゲのプランナーをしていた経歴を持ちながら、とある事件により運営の場を去り新潟へと逃げるように転校してきた少年である。そんな彼が出会ったのは、廃部寸前のソシャゲ部とそこに所属する三人の少女達。

 

情熱のままに駆け抜ける部長、七花。

 

自らのイラストで絶頂してしまうイラストレーター、絵瑠。

 

ガチャに全てを捧げたガチャ狂いのプログラマー、文。

 

更に、そこにあったのは真の力を出し切れていない、無限の可能性を秘めた一つのソシャゲ。

 

そして、解は取り戻していく事になる、あの日胸に燃えていた熱を。あの日に落としてしまった、一度きりしかない青春を。

 

そもそもソシャゲを作る事すらもう嫌だと言った筈だった、だけどソシャゲを調べる事は止められなかった。

 

未熟な彼女達に指導を重ねていった、断る事だって出来た筈なのに。

 

だけど、それでも関わってしまったのだ、またこの世界に。そこで出会えたのだ、誰よりも大切にしたい仲間達に。

 

だからこそ、彼は振りほどけたのだろう、あの日から絡まって続いてきていた因縁の鎖を。だからこそ進めたのだ、絆を切り裂く為ではなく引き合う勇気を持って。

 

「彼女たちがいれば、大丈夫です」

 

この一言に込められた想いは如何程か。想像するに余りある。

 

この作品は、次々と絡み合って襲ってくる問題と、一筋縄ではいかぬ人間関係が交錯するリアルな運営の現場を描いた作品である。そして、個性と魅力に溢れた子供達がその情熱のままに創作へと挑み、再び解少年の心に創作の炎が燃え出す青春の輝きと熱さに満ちた作品なのである。

 

だからこそこの作品は、こんなにも魅力を持っているのだろう。受賞するのも個人的に納得である。

 

 

瑞々しくて熱い青春を楽しみたい読者様は是非。きっと満足できるはずである。

 

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