読書感想:問題児の私たちを変えたのは、同じクラスの茂中先輩2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:問題児の私たちを変えたのは、同じクラスの茂中先輩 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻を読まれた読者様が今巻の感想を読まれていると言う仮定の下にここから先の感想を書いていきたい次第であるので、まだ読まれていないと言う読者の皆様、この先の続きを読むをクリックせずに是非戻って、一巻を読まれてからこの先の感想を読んでいただきたい次第である。

 

 

さて、前巻で主人公である碧の恋人、アリスは既に故人であることが判明し、碧は死者に今も尚恋している、というのが判明した次第である。つまり、闇を抱えたヒロイン達にも負けず劣らずの闇を主人公は抱えている訳であるが、そんな闇を抱え、それでも尚、友情を結んだ問題児たちを救おうと奔走する彼は、本当の意味で「問題児」と言えるのだろうか?

 

「そうだな。どうしてもこの五人でゲーセンに行きたいんだ」

 

「大変だが難しいとは思わない」

 

修学旅行から早一か月ほど。問題児同士で纏まり、一つの友人グループを形成した碧達。放課後、何気なくゲーセンに寄りたいと願えど、大炎上という過去を抱えた鈴が親の厳しい門限により参加できず。そんな彼女を助けられずしてアリスと釣り合えるものかと、大炎上の当事者達を一計に嵌め、罪を告白させる作戦に皆で挑み。

 

「見捨てるわけないだろ」

 

元生徒会長である未月が抱えている問題、生徒会長を辞めるきっかけとなった元親友、豊美をまだ救いたいと一人藻掻こうとしているのを本気で止めて。警察官を装うと言う、法的に照らすと一発アウトな事も平気で行い、二人をもう一度向き合わせる機会を設ける。

 

その全ては、問題児たちの為。ひいてはアリスに釣り合う自分になる為。放課後に皆で出かけたり、優等生グループとひょんな事から勝負することになったり。教師に許可を取った上で、学校のプールをナイトプールにしてみたり。

 

「今度は碧を救ってあげる」

 

問題児だからこそのルール破り、だけど真っ直ぐな青春が問題児たちを救っていく。その救いを齎された未月やキラたちは、碧を救いたいと一歩踏み出し。その一歩にいっそ強引なまでに背を押され、意を決して碧は仲間達にアリスが既に死んでいると言う事実を告げる。

 

―――だがそれは、本当に正しい行いであったのか? 本当にそれはやるべき事だったのだろうか? 碧の行いとは違い、彼女達が碧に渡そうとしている「救い」は、本当の意味で救いとなるものなのか?

 

「ここで先輩に残念なお知らせがあります」

 

だが、これだけは言える。その告白は、彼女達の心の箍を外してしまったのだ、という事を。早速とばかりに行動を開始する「彼女」。ある意味失うものがないからこそ無敵。その強引なまでの踏み込みは、果たしてどんな波紋を生むのか?

 

前作、「あなたを諦めきれない元許嫁じゃダメですか?」シリーズのヒロイン、翼や麗奈。結ばれた翼の裏、負けた麗奈たちは新たな道へ踏み出していた。だが今作品のヒロイン達はどうか。彼女達はもし碧と結ばれなかったら、その先の未来はあるのか?

 

それはまだ分からない。だがこれだけは言える。前作とは別のベクトルで火花散る、本気のぶつかり合いのラブコメが始まったのだ、と。グループ内で繰り広げられるその波乱は、絆を壊さずにいられるのか。

 

本当の意味で始まって早々、波紋が炸裂する今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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