読書感想:不屈の冒険魂 雑用積み上げ最強へ。超エリート神官道

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さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様。貴方は例えば大学生になる、若しくは社会人になる等新しい環境での生活を始める際に何か新しい趣味を始めたいと思われるだろうか、若しくは何か始められた事はあるだろうか。新しい趣味を始めるのに丁度よいタイミングと言うものは、いつも唐突に来るものかもしれない。

 

この作品の主人公である、大学一年生になったばかりの青年、ユキムラ(表紙中央)もまた、大学入学を切っ掛けに何となく、この世界で大流行、売り切れ続出の丁度いま始まる所であるVRMMOGPゲームへと手を出している。

 

かのゲームの名は、通称ISAO。だがしかし、ユキムラは普通の青年であり今まではゲームとの縁が全くなく、この手のラノベにありがちなベータテスト経験者でもなく。そんな彼が選んでしまった職業は「神官」であった。

 

ダッシュエックス文庫でVRMMOもの、そして神官と聞くと画面の前の読者の皆様は某真っ黒なソロ神官の姿を思い出されるかもしれないが、一度その姿の面影は一度捨てていただきたい。

 

このゲーム内における神官は、戦闘で弱い、稼げない、そして地味。つまりは不遇がスリーアウトチェンジなハズレ職業であり、事前情報を知っている者であれば絶対に選ばない職業である。

 

だがしかし、ユキムラの中にはそれを補うどころか押し上げるだけの強みがあった。それは、不屈ともいえる心。どんな時も諦めず進み続ける事のできる、真っ直ぐな心。

 

その心のままに、全く新しい世界を楽しみながら。数々の何にもならないような雑用をこつこつと積み重ねていくユキムラ。

 

彼は気付かぬ間に積み重ねていく、NPC達からの好感度を。そして知らぬ間に切り拓いていく。誰も知らなかった強くなるための道を。

 

始まったばかりの世界、即ち誰しも基本的には条件は同じ。そんな始まったばかりの世界で、彼は徐々に表舞台へと姿を現し、頭角を現していく。

 

ある時は失われた筈の祭りを復活させたり。

 

「ごめんね。刀を持った勝負では、手抜きはできないんだ」

 

またある時は、このゲームでは仕方のない名前被りに因縁をつけてきた少年を一撃で片付けたり。

 

時に絡まれたり死闘を繰り広げたりしながら。

 

ユキムラを気にする裁縫師の女性、キョウカ(表紙右)やイベントで仲間にした妖精、メレンゲ(表紙左)といった仲間を作り、彼なりに世界を楽しみ、徐々に尊敬を集め何かの中心となっていく。

 

この作品は、小説家になろうの流行から言うと流行とは一味違った作品であるかもしれない。だがしかし、地道な努力を積み重ねることこそ意味があるというテーマを根底に敷いているからこそ、こつこつと積み上げ徐々に有名になっていく、少しずつ進んでいくユキムラの成長譚として一つの面白さを持っており、少しずつ世界を広げていくその様に未知への期待がこもっているのも確かなのである。

 

VRMMOものが好きな読者様、こつこつ進む作品が好きな読者様にはお勧めしたい。

 

きっと満足できるはずである。

 

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