読書感想:声優ラジオのウラオモテ #06 夕陽とやすみは大きくなりたい?

f:id:yuukimasiro:20211128134239j:plain

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:声優ラジオのウラオモテ #05 夕陽とやすみは大人になれない? - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻では後輩の成長を見つめ、導く程に成長を見せたやすみと夕陽である。それもまた喜ばしい事無れど、まだ彼女達に成長の余地は残っている。では一体、どのような部分においての成長を促していくのだろうか、という事であるが。画面の前の読者の皆様は、特にやすみの成長と言う部分において、今まで足りなかった部分は何だと思われるであろうか?

 

 

その答えは色々あるであろう、まだまだ足りぬのだから。しかし、その一つに恐らく挙げられるのは「率いる事」であろう。誰かの背に引っ張られるのではなく、自分もまた誰かを引っ張っていく事。今巻で求められるのはそれである。

 

 前巻の最悪な現場と悩む後輩を見守る日々の舞台裏。やすみと夕陽も集められ、新たなプロジェクトが始動していた。その名を「ティアラ☆スターズ」。アニメにゲーム、更にはラジオまでコンテンツ盛りだくさんのアイドル声優プロジェクトである。

 

「こういう仕事を、させてもらえるようになったんだなぁって」

 

感慨もひとしお、その余韻も冷めやらぬ間に申し渡されたのは、選抜ユニット同士でのライブ対決。そのユニットのリーダーとして、それぞれ選ばれたのが夕陽とやすみである。

 

 ただ、演じるキャラが何かと張り合うからという理由で背負った重責。夕陽に挑まれる勝負に負けたくないと張り切るやすみの前に、新たな問題児が二人。苦学生な年上の後輩、飾莉。親が大女優であり元天才子役であるという過去を持つ小学生の後輩、ミントである。

 

初めて背負う重責、隣には今、相棒はいない。頼れる仲間もいない中、必死に皆の間を取り持とうとするも、飾莉とミントの間に不和の空気が立ち込めて。それを何とかするために皆で祭りへ繰り出し親睦を深めたかと思えば、ミントの負傷と一時離脱という大問題が起きてしまう。

 

 自分は何か間違えたのか。何処で間違えたのか、どうすれば良かったのか。そんな懊悩の中へと沈むやすみの心を救うのは誰か。

 

「あなたは間違いだらけだわ。でも、間違いだらけの道をふたりで歩いてきたから、今があるんでしょう?」

 

それはやはり、夕陽の役目。修学旅行、抜け出した河川敷で二人だけの自主練習。そこで気付いた己の気持ち。いつもとは違うラジオで感じた違和感、その正体。自分は彼女に話を聞いてほしかった、彼女にいてほしかったのだと。

 

やすみへと告げられたのは、そもそもの話。最初から間違えてきた、けれど泥臭くもここまで進んできたからこそ今があるという、何よりも欲しかったかもしれぬ言葉。「戦友」であり「好敵手」、「相棒」な彼女の強い思い。

 

「あたしは間違って、間違って学んだから、ここにいるんだよ」

 

 そう、思えば最初から声優として取るべき道など違えていた。けれど違えていたからこそ彼女は隣にいる。だからこそ今、またもう一度仲間達と向き合い、皆で一丸となって舞台へ上がる。

 

それは確かにつかんだ成果、その先に待つのは最強の味方で最悪の敵。果たして問題児たちは勝つことはできるのか。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

声優ラジオのウラオモテ #06 夕陽とやすみは大きくなりたい? (電撃文庫) | 二月 公, さばみぞれ |本 | 通販 | Amazon