読書感想:幼馴染が引きこもり美少女なので、放課後は彼女の部屋で過ごしている(が、恋人ではない!)

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幼馴染はいいものだ、これは既に自明の理であるのかもしれない。ではそんな幼馴染が引きこもりだったら? それは最高なのか、それとも。

 

さて、主人公である奏太君の幼馴染でありヒロインである唯花(表紙)は引きこもり一年と少しの引きこもりである。奏太君以外と交流が無くただ部屋にこもっているだけの引きこもりである。

 

そんな事情があるからこそ彼女の部屋でだけ二人だけの閉じた日常が展開されるのがこの作品の肝である。

 

そして、二人きりの日常がどこまでも甘い。まるで角砂糖をこれでもかとぶち込んだミルクティーのように。

 

唯花にメイド服を着て貰ったり、課金カードのお礼にハグしたり、風邪を引いた時に添い寝してもらったり。

 

こんな日々を過ごしているのに二人は付き合っていない。それは何故なのか世の中がおかしいのか?

 

否、それは唯花が一線を引いているからである。自分が奏太に寄り掛かり甘えてしまっている事は分かっている。だからこそいつか彼を解放しなければならない。自分にそう言い聞かせ、必死にその距離を保つ。

 

本当に解放しようと願うならすぐにでも引き離せばよかった。なのに何故。それは唯花の心に、奏太の心に確かな恋心があるから。

 

「いいよ。一緒に死んでやる」「俺は生きるから、お前も生きろ」

 

いつだって、自分の心を救ってくれたのは彼だったから。彼がいないと生きていけないと自覚しているから。

 

ずっと、ずっと、ずっと。

奏太は唯花の事が好きで、唯花は奏太の事が好きだったから。

 

そう、これは両片思いな幼馴染同士の二人が埋まらない距離をじれったく過ごすラブコメである。同時に、お互いに寄り掛かり互いに埋め合うように、どこか時が止まってしまった二人のラブコメだ。

 

この二人は今は未だ恋人同士ではない。だが確かに世界を変革する一矢は放たれた。世界と繋がり本当に動き出す中、今の関係を変えられた時、二人の関係は恋人同士となれるのだろうか。

 

じれったくてもどかしいラブコメ、幼馴染とのラブコメが好きな読者様は是非。揺れ惑う繊細な心理描写に心から萌えさせられるはずである。

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