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読書感想:凡人転生の努力無双2 ~赤ちゃんの頃から努力してたらいつのまにか日本の未来を背負ってました~ - 読樹庵
さて、第七階位という規格外の魔力で突き進んでいくこの作品の主人公、イツキであるが。ニーナやアヤ、といったヒロイン候補とは中々に隔絶した差がある、というのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。特にアヤは本人は第三階位、と低めなランクであり、更に小学校も別、とあって普段の生活でもあんまり関わり合いがない、というのもご存じであろう。
そんな彼女と向き合うのが今巻であり、彼女の事を掘り下げていくのが今巻なのだ。
「・・・・・・魔法が使えなくなった?」
夏休みも迫る中、イレーナとニーナと共に出かけた仕事で、電子ファイルに罠を仕込んでくる、という魔物の新たな手口に遭遇したりもしつつ、久々のアヤとの再会。そこで告げられたのは、アヤが魔法を使えなくなったと言う事。話を聞いてみると、どうも魔力が凍ったように固定された、という状態。解決の糸口を探す為、本来はイツキやアヤ達は参加しない夏合宿、そこで今年は教えてもらえる、という「共鳴」という人を治癒する為の魔法を習いに行くことに。
「イツキくんと、アヤちゃんには仲良しになってもらいます」
共鳴専門の祓魔師、ルリから共鳴の魔法を習いつつ、彼女の手によりアヤを治療するための心象世界への共鳴が試みられ。だがアヤの中にいる何者か、に拒まれたように完全に拒絶され、イツキを中継器として用いれるようにするため、より絆を深めることに。
「私は、どうしたら良いの・・・・・・?」
レクリエーションの中、アヤの中から発現したのは青白い導糸。それは彼女が青森の現場で接したものと同じ。そう、彼女は「魔」に取りつかれていた。更にアヤの、イツキに置いて行かれたくないと言う思いが吐露され、より猶予が無くなり。急遽、更なる共鳴を試みることに。
「あの男を、殺してくれ」
「僕が祓う」
再びの心象世界、そこにいたのは第六階位の魔、「氷雪公女」。だが拒絶しようとする彼女の心の世界へ共鳴、そこで見たのは悲しき過去。氷雪公女はただ、アヤを守ろうとしていた、本当の黒幕から。 だが間に合わず、過去の人物である法師、晴永が第六階位の魔として受肉し。過去の時代の術式という未知の術、そして八千もの命の残機を相手に戦う事に。
「私を信じてよ、イツキくん」
「うん。一緒に」
だけど、彼は一人じゃない。自身の想いを吐露し、アヤがその隣に並び立ち。二人で放つ新たな魔法、イツキの夜にアヤ、と氷雪公女の世界を組み合わせた合体技を炸裂させ、晴永を終わらせる事に成功し。氷雪公女も、契約を交わしアヤと共存の道へ。
だが、まだ平穏は来ない。遠く異国、動き出そうとしているのはニーナの仇敵。次巻、きっと辛い展開になるのかもしれない。
アヤの想いが語られ、より絆深まる今巻。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。
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