読書感想:凡人転生の努力無双 ~赤ちゃんの頃から努力してたらいつのまにか日本の未来を背負ってました~

 

 さて、時に画面の前の読者の皆様の中に今、死にたいと思われている読者様がいるのなら、どうか今一度考えてみて貰いたい。例えば、私や死にたいと思っている方がいなくても世界も社会も回るであろう。しかし今死んだら誰かに迷惑をかける事に繋がるかもしれないし、誰かを泣かせる事になるのかもしれない。そう考えてみると、死ねない理由にはならないだろうか。 とまぁ講釈たれてしまった訳であるが、人間は基本的に死にたくはないだろう。命は大切だから。

 

 

しかし死神というのは気紛れであり、平等なのである。だからこそ唐突に死、は訪れるし運悪く死ぬ、という事もあり得るのだ。

 

「どうか無事に、三歳を迎えられますように」

 

平凡な人生を歩んできて、運悪く精神の狂った通り魔により殺されて。気が付けば意識は、赤ん坊に転生していた。 今度は死にたくない、と思っていた時に新たな人生の母親の言葉が嫌に耳に残り。一先ず普通に成長していく中、気付く。転生した世界は日本、かと思いきやどうも魔法があって、「魔」と呼ばれるモンスターがいて。そんなモンスターたちと戦う「祓魔師」と呼ばれる一族に転生してしまった、という事を。

 

「まさか、数百年に一度の天才に出会えるとは」

 

そしてモンスターと戦うと言う事は当然死ぬかもしれないし、そもそも祓魔師はモンスターから狙われる。ならばどうすべきか? 決まってる、強くなるしかない。 自分に出来る事を精一杯、魔力量を増やす為の方法を模索していたら。気が付いたらイツキ(表紙左)という少年として。元は凡人なのに、六段階の階位で表される祓魔師のランク、その規格外である伝説、「第七階位」相当の魔力を持っていてしまったのである。

 

「パパ! 魔法を教えて!」

 

強くなりたい、その一念で決意し。父親から魔術、そして体術を学び。正に鬼才、イツキは習う全てを圧倒的な速さで吸収していく。普通の祓魔師の何倍もの速さで、魔術を身に着け。それどころか父親の魔術を見ただけで一瞬で、模倣して見せて。まだ小学生になっていないにも関わらず、第三階位の魔を祓える程の力を身に着けて。

 

「間違いなくこの子は鬼才だ」

 

両親に驚かれるほどの速さで、成長していく。その成長は、祓魔師の業界の中でやにわに注目を集めていく。

 

「イツキくんといいなずけになるのは私です!」

 

彼の事を慕う、幼馴染みのような関係であるアヤ(表紙右)。彼によって魔になりかけたところを助けられて義妹になった幼女、ヒナ。

 

「僕はオマエを祓うから」

 

 

皆、自分にとっては守りたい人達。死にたくない、それは当たり前。だけど失いたくない、それもまた当たり前。ならばどうすべきか? 命の限りを尽くして、戦い抜け。襲来するのは第六階位の鬼、「雷公童子」。 絶体絶命の危機を前、イツキの本気、第七階位の本領が発揮される。

 

真っ直ぐに骨太、面白さあふれる続きが読みたくなるこの作品。心熱くなる作品を読んでみたい読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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