読書感想:お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について6

 

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読書感想:お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、「普通」とは突然であるが一体何なのであろうか。自分にとっての普通が、相手にとっては普通ではない、というのは画面の前の読者の皆様も経験された事はあるのではないだろうか。それぞれの生き方の中で育まれてきた「普通」、というのは人によって異なってくるものなのである。

 

 

特にこの作品の主人公とヒロインである由弦と愛理沙にとっては、今発生しているこの「普通」の問題というのは中々に重いものなのである。だがしかし、それも仕方のない事であろう。そもそも生きてきた環境が違う、そしてそれぞれかけられてきた期待が違う。ならば、結婚観というものがすれ違ってしまったとしても、仕方のない事なのだろう。

 

「「く、くだらなさすぎる・・・・・・」」

 

 が、しかし。一先ずその問題は棚上げし、由弦と愛理沙は喧嘩してしまう。だがそれは、予防接種に関する好き嫌い、という高校生のカップルの喧嘩の理由にしてはどうでもいいものだったりするのであった。

 

周りに呆れられつつも諭され、不器用なりに向き合って仲直りして。二人はまた、日常の中へ戻っていく。

 

何故か由弦のバイト先でバイトを始めた愛理沙が、接客に慣れるために家でメイド服になったりしてみたり。

 

ハロウィンを迎え、愛理沙がバニーガールという大胆なコスプレで、彼女らしい可愛い悪戯を仕掛けてみたり。

 

無論、そればかりではない。覚えたキスの味に浸りながらも、放課後にデートしたり、二人で猫カフェに出向いてみたり。これで何で一線を超えていないんだ、とツッコミたくなるような甘さの中で。二人は修学旅行の中、周りの考え方に触れ、お互いの考え方に向き合っていく。

 

「由弦さんは私が好きだから、婚約してくれたんですよね?」

 

恋が先か、結婚が先か。まるで卵が先か、鶏が先かと問いかける問題のよう。その中に見えてくるのは、由弦の家の動脈硬化したとさえ思えてくる、封建的な考え方。そんな中、その家を継ぐために生まれてきた由弦の考え方の根幹。けれどそれでも、この婚約だけは違う。始まりは愛が無かったとしても、今はもう愛が溢れている。ならば、二人の考え方という違いを埋めるのも苦にはならない。きちんと話し合い、ちゃんと乗り越えて。また一つ、絆を深めていくのである。

 

更に絆を深め、あとはもう結婚くらいか。そうであるのならもう心配はいらないのだろう。

 

更に甘さ増していく今巻、シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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