読書感想:家事代行のアルバイトを始めたら学園一の美少女の家族に気に入られちゃいました。

 

 さて、炊事に掃除、洗濯に買い出し。そのような事を纏めて家事という訳であるが、一人暮らしをされている画面の前の読者の皆様は、一人暮らし開始当初こんなに家事って大変なのか、と思われた事はあるであろうか。実家暮らしで在ったら普通にご飯は食べられるし、洗濯も出しておけばしてもらえるかもしれない。しかし一人暮らしになったらその全ては自分でしなければならない。それが何と面倒な事か、と思われた方もおられるかもしれない。

 

 

そんな方のためにあるのが家事代行サービス、と言えるかもしれぬ。しかし家事代行サービスというのはやはりお金がかかる。そういうのもあって、やはり自分でやった方が早いかもしれない。この作品はそんな、家事代行サービスを軸に据えたお話なのである。

 

「俺は手の届かない女神様よりも、安売りされる食材の方が大事なんだよ」

 

学園一の美少女、しかし男子を寄せ付けぬ孤高の女神様の綾香(表紙)。周囲から人気を集める彼女には関わらず、まるで主婦のような事を言う少年、晴翔。両親を事故で亡くし母方の祖父母に引き取られ、祖父は高校入学前に亡くなり。しかし愛情持って育てられ文武両道、家事万能な優等生。そんな彼はやってきた夏休みに短期で家事代行サービスのバイトをする事に決め。早速依頼を受けいった先は大きな家、そこは綾香の家であった。

 

両親それぞれ会社経営者、そんな両親の出張が重なってしまい、家で幼稚園児の弟である涼太と二人きり。何とか頑張ろうとするも、無理をし過ぎてパンクしてしまいそうになり。

 

「次呼ばれる事は絶対にない・・・・・・そう思っている時期が俺にもありました」

 

そんな状況で依頼を受け、偶然派遣された晴翔。持ち前の家事テクニックであっという間に片付け、夕食まで作って。その日はそれで終わって、それっきり。と思いきやまた依頼があって。再び綾香の家へ。

 

色々と依頼される掃除に料理。持ち前のスキルでお願いに完璧に回答していく中。晴翔は期せずして、綾香の家族の心を開いて気に入られていく。

 

まずは弟の涼太がまるで本物の兄の様に懐き。次に母親の郁恵が、彼の事を気に入って綾香を見守り始め。次に父親である修一が彼の誠実さと家事の手際の良さを気に入って。あっという間に定期契約、専属契約を結ぶ事となる。

 

それは時間限定の関係、しかし倉庫整理からお掃除、更には料理まで様々なジャンルで役立っていく事で。気が付けばいつの間にか、綾香の家族に、まるで新たな家族のように受け入れられていく。

 

「知らないから、好きになったんじゃないの?」

 

そんな優しい日々の中、綾香の中に芽生えて育っていく気持ち。今まで避ける対象だった男子、だけど彼の事は何故か嫌じゃない。それは何でだろう。親友にも相談し、彼女は気づいていく。自分の中に芽生えた感情、それが「恋」であるという事。その思いに動かされ、彼女は少しずつ行動を始めるのである。

 

正にもどかしくてこそばゆい、少しずつ深めていくラブコメであるこの作品。心弾むような恋路が好きな読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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