読書感想:手に入れた催眠アプリで夢のハーレム生活を送りたい

 

 さて、時に画面の前の読者の皆様はポケットモンスター、ことポケモンはプレイされた事はあると思われるが、その中で「さいみんじゅつ」という技を使われた事はあるであろうか。命中率にちょっと不安があるが、多くのエスパータイプや一部ゴーストタイプのポケモンも覚える、相手ポケモンを眠り状態にする技。捕獲の際には便利な技なので、所謂旅パと呼ばれる手持ちの中に使えるポケモンを入れていた方もおられないだろうか。

 

 

と、まぁそんな話題はともかく、さいみんじゅつとは18禁的に言えば催眠アプリ、に繋がるかもしれない。催眠アプリもの、好きな方もいれば嫌いな方もおられるであろう。この作品はそんな、催眠アプリから始まるラブコメなのである。

 

「・・・・・・って、何を興奮してんだよ俺」

 

彼女いない歴がそのまま年齢、最近の密かなマイブームは催眠アプリもの、そんな高校三年生の少年、甲斐。そんな彼のスマホにある日、いつの間にかインストールされていたもの、それは催眠アプリ。一瞬舞い上がるもあっという間に落ち着いて、猜疑心を向け。しかし姉や道行く人に試してみれば見事に発動し。本物だ、という確証を得て早速彼は、催眠アプリの普通の使い方を実践しようとする。

 

「そんな闇を抱えていたんだな・・・・・・」

 

が、しかし。何の因果か、それとも彼がそういう星の元に生まれているのか? 彼が目を付けた女の子達は、それぞれ誰にも言えぬ傷、心の闇を抱えていた。それこそえっちな事をしたら、本当に壊してしまうのではないか、という程に。

 

同級生のギャル、茉莉(表紙左)は付き合っていた幼馴染に浮気され、あまつさえ自分が悪者にされて家族にも嫌われて。人を寄せ付けない隠れ美少女、才華(表紙右)は実の父親からの暴力に晒されていて。

 

普通の下種な悪役であれば、それがどうしたとえっちな事をしていたかもしれない。壊す事を躊躇わなかったかもしれない。しかし、甲斐はそこまで出来なかった。クズになると言っておきながら、根っこの真面目さと優しさは捨てられなくて。 彼女達のメンタルケアに勤め、更にはその闇を晴らすべく行動を始める。

 

今まで何も出来なかった、勇気も出せなかった彼の背中を押し、助けとなるのは何か。それこそは催眠アプリ、段々「相棒」と呼べるくらいになっていく力。茉莉の幼馴染には恥ずかしい行動をさせて心を折る手段として。才華の父親には、証拠を自白させて決定的な証拠を集める手段となって。 結果的に正義の手段、正に陰で頑張るヒーローの様に。 必死に助けるべく奔走していく。

 

そんな中、彼はまだ知らない。茉莉と才華、二人の中で記憶には残っていないけど、残っているものがある事、それが正直な恋心を目覚めさせていると言う事を。三人目に目を付けた後輩、絵夢(表紙中央)が前述の二人とは別ベクトルのヤバさを持っていると言う事を。

 

エッチな事に発展、したいけれどできない、結果的に心を助けるヒーローになっていくこの作品。みょん先生らしい心が格好いい主人公を見てみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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