読書感想:お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について8

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:お見合いしたくなかったので、無理難題な条件をつけたら同級生が来た件について7 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、今巻でこの作品はいよいよ完結を迎える訳であるが、もう何か語る事って残っていただろうか、と画面の前の読者の皆様は思われるかもしれない。それもまた間違ってはいないだろう。何せここから由弦と愛理沙の関係が揺らいだりするだろうか、そんな訳はない。寧ろここまで来ておいて何かしらの波乱がある、なんて事はあり得ない。と、いう訳で今巻は一冊纏めてエピローグ。幸せの形の結実に辿り着いて、その先の日常へ歩き出していく巻なのである。

 

 

 

「じゃあ、思い出させてあげる」

 

「・・・・・・お願いします」

 

大学生となり、同じ大学に通う事となって、二人で同棲もして。お酒も飲めるようになって二人で酔っぱらったり、由弦が父親からおさがりで押し付けられた車でドライブに出かけて、帰りに人生初めてのラブホテルに行ってみたり。 前巻で一線を越えているので、もう一線を超えるのに躊躇は無くて、自然に誘えて。 ブレーキがぶっ壊れたままに、更に甘さを増しながら人生というレールの上をぶっ飛ばしていく。

 

大学生活も終わるころ、きちんと順序を踏んで盛大に結婚式を挙げて。新婚旅行で様々な国を巡って、南国に仲間達が集まって、愛理沙の心温まるサプライズをしてみたり。

 

アメリカで愛理沙が博士課程に進んで、由弦が大企業に就職して。生活リズムの違いにちょっとしたすれ違いが起きてしまって。だけどクリスマスに仲直りし、三日に一回は、という条件で手を打って。 愛理沙の博士課程の終了を機に日本に居を移し、愛理沙は子育てに。由弦はいよいよ家を継ぐ準備に入る事となる。

 

「ありがとう」

 

「どういたしまして」

 

やがて、長男である愛弥が生まれて、長女である弓理と次女である弓沙にも恵まれて。母親としての強さを身に着け、お小言も増えた愛理沙の尻に敷かれる事も増えて行って。それでも家族五人、誰が見ても幸せな家族像を作り上げていく。

 

「・・・・・・初めましてでは、ありませんよね?」

 

そして物語は次代へと。愛弥が十五歳、由弦より持ち込まれた縁談。 父親もそうであったとは気づかず、父親の様に無理難題を設けたら、やってきたのはケンカ別れした幼馴染。 いずれ日本一のおしどり夫婦と呼ばれる二人の始まりとなっていく。

 

 

「はなよめしゅぎょう、です」

 

そして、新たな物語の始まりはすぐ近くに。気が付かぬ間にお互い勘違いでボタンを掛け違えている、そんな二人の物語の始まりはすぐ近くに。

 

一冊全部エピローグ、そして次代のプロローグである今巻。どうか最後まで皆様も是非。

 

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