読書感想:【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。8

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。7 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で遊一へと露呈したらんむこと、来夢の正体。かつての日本のトップモデルが自分の母親、京子であったという事の真実。迫っているのは遊一と結花の関係の露呈。いよいよ挑まねばならぬ試練が来る今巻。ハッピーエンドにたどり着くために、乗り越えるべき課題を越えて。 最後の力振り絞り、挑むことになるのが今巻なのである。

 

 

ではそんな今巻、最後の裏テーマを敢えて名付けるなら何がいいのだろうか。「つなぐ」、そして「再生」という事にしておこうか。心開いてすべてを話して、皆が皆大切なものに向かい合って。そこで、皆で幸せに向かっていくのが今巻なのである。

 

「―――私はっ! みんなで一緒に、笑いたいんですっ!!」

 

暴露系配信者が暴露しようとしているのは、お披露目イベントすぐ近くと言う悪いにも程がある機会。結花の方は、炎上したら自分を降ろしてくれと頼んで、遊一の方はいなくなった母親の事を聞いて。それぞれに思い揺らす中、暴露動画は投稿されてしまい。一先ず学校には行くも、周りとの壁を感じてしまい。このままでは駄目だ、と学校に行くことを決意し。重い腰を上げ、学校に向かう。

 

「それはきっと、結花が結んできたものだよ」

 

暴露から少し経ち、果たして彼女の事情を話してどうなるか。答えは、意外とみんなに受け入れてもらえた。それこそあっさり、拍子抜けしてしまう程に。家族も、事務所も、学校の皆も。それはきっと、結花が皆との絆を結んできたから。だから、きっと難しく考える必要はなかったのかもしれない。笑顔を願い、その為に頑張ってきたから。その思いが今、自分を助ける花となって結ばれていく。

 

「―――母親に資格なんて! そんなもの、ありませんっ!!」

 

ではまだ向き合うべきは誰か。それこそは遊一の母親である京子。捨ててしまったと後悔し傷を抱え、自分には資格がないと寂しい子供な内面を隠して、離れていこうとする彼女。だけど、そんなものは関係ない、どうでもいい。資格なんてない、母親は彼女だけ。家族の絆は、途切れたように見えてまだ、僅かにでもそこにある。ならば少し強引にでも向き合って、皆で思いをぶつけ合って。悲しませたくないなら、泣かせたくないなら、ただそこに、家族として在って欲しいと伝えていく。

 

「一緒に幸せになろうね」

 

皆でつないで、未来へ向かって。全部を乗り越えてやってくるのは、未来へ誓う大切な日。これからも二人で、皆で。結んだ笑顔がずっと花開いて咲いていますように、と。続いていく未来、終わらない明日へ歩いていくのである。

 

全部詰め込み乗り越えて、万感の思い溢れ出す今巻。是非最後まで楽しんでみて欲しい。

 

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