読書感想:底辺探索者は最強ブラックスライムで配信がバズりました! ~ガチャスキルで当てたのは怠惰な人気者~

 

 

 さて、ガチャと言うのは良い文明なのか、悪い文明なのか、という前書きはガチャが絡んでくる他の作品の感想で取り上げたような気もするが。画面の前の読者の皆様は、ガチャに嬉しい思い出か嫌な思い出、どちらがあられるであろうか。狙いのキャラが早々に出てくれて絶頂が如き嬉しい思いをされた事のある方もいれば、大爆死という状況に陥ってしまって、悔しい思いをされた読者様真もおられるかもしれない。

 

 

しかし、ガチャと言えばソシャゲであると思われるが、ガチャで最高レアリティが排出される可能性と言うのは大概とんでもなく低いものである。正直、3パーセントくらいあればまだ高い方であろう。そんな「ガチャ」というものがこの作品においては重要なのである。

 

世界にダンジョンが現れて九年、十歳を超えた人々の中でランダムに、ギフトと呼ばれる自分だけの力が宿ったとある世界。「ダンジョン病」と呼ばれる病気により、植物状態となってしまった妹、奈々を救う為にダンジョンに潜る青年、陸。生活の為に配信をしながら潜る彼に与えられたギフト、それは「ガチャ」。ダンジョン内に出現する魔物を倒してドロップする魔石を使って、ガチャが出来るというもの。しかしノーマルが当たる可能性があまりにも高すぎて。彼はいいものは手に入れられずにいた。

 

「応援じゃなくて体を動かせ!」

 

そんなある日、ようやく引き当てた最高レアリティ、UR。それはブラックスライム、リン(表紙中央)。強力な味方、かと思いきや怠惰な性格で戦ってくれなくて。だがこの出会いが、いい方向に繋がっていく。自分からは動いてはくれないけれど、動かなければ戦ってはくれるので、投げつけて攻撃してもらう、という方法を編み出して。

 

「うんうん! 私のためにね!」

 

更には偶々引き当てた安眠枕が、不眠症解消のためのアイテムを求めダンジョンに潜る元同級生、志保(表紙上)にジャストフィットし。ハズレの中のアタリであるそのアイテムを求め、志保も仲間に加わる事となり。気が付けば、ガチャをどんどんと回せるようになっていく。

 

視聴者が求めるのは可愛い子なのか、リンが視聴者にウケ、更には志保との漫才めいたやり取りも人気を誘い。時に志保に執着する元仲間をぶっ飛ばしたり、志保のせいでズボンを降ろされて配信停止になってしまったり。ドタバタが起きつつ、奈々が強制退院させられるトラブルもあったりして。

 

「笑ってくれていいぞ」

 

しかし、その先に。唐突に訪れる試練、求められる己の選択。誰の命を選ぶのか、という選択を強いられる中、仲間の命を選んで。そんな彼に、まるでご褒美と言わんばかりに奇跡の展開は待っている。

 

王道的な面白さがあるこの作品。まっすぐな面白さを見てみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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