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読書感想:【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。5 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、将来的な小姑である那由とのすれ違いも埋めて、更に絆を深めた遊一と結花である。ここまで来ればもう無敵、向かうところ敵なし、と思われるかもしれない。だがそうではない。本当の意味で婚約者、家族となるのであれば乗り越えなければいけない壁がある。それは結花の両親への挨拶。恋人同士にとっては、一番の壁とも言えるであろう試練が遂に訪れるのが今巻なのである。
そして今巻のテーマは「真実」。そして裏のテーマとしては「予期せぬ出会い」、「真の友情」というのもあるのかもしれない。全ての真実が明かされるのが今巻なのである。
聖夜も乗り越え謹賀新年、那由に振り回される賑やかな大晦日を迎えたり、晴れ着で初詣に出かけたり。結花と仲良く冬休みを過ごす中、遂に訪れる結花の実家への挨拶の時。心配性である結花の母親に振り回されたりする中で。結花の父親から問いかけられた「課題」が、遊一の心を悩ませる。
それは、彼が結花に何をあげられているか、という答えを示すと言うもの。当然である。一方的に支えるのではなく支え合うのが夫婦なのだから。だが今までこのシリーズを読まれてきた読者様は、どちらかと言えば結花の方から貰っている方が多いのではないか、と思われるかもしれない。一体何をあげられているのか。その答えを探す中、二人は拾い損ねた問題とも向き合っていく。
もう隠してはおけぬ内緒の秘密。愛する者に向き合う為には避けられぬ、黒歴史の清算。
「それってなんか―――夢があるじゃねーか」
親友達を家に招き、真実を明かし。悪友でもあるマサからは納得と共に、祝福され。心配し過ぎだったと言う事に気付き。
「どうか結花さんと、幸せになってね」
友人である二原が隠していた秘密、遊一をフッた相手である来夢との繋がりを辿り、数年ぶりに向かい合い。彼を傷つけた黒歴史の真実が、無自覚な悪意と、遊一を思うが故の優しさのすれ違いだったという事を知り、一歩過去を乗り越える。
もし少しでも違えば来夢との未来もあったのかもしれない。だが今、遊一の隣にいるのは結花だ。今、愛する相手は彼女だ。一つずつ乗り越えた先、遊一はやっと自分だけの答えを見つけ、自身の父親から知らされた婚約の真実を胸に、結花の父親と向かい合う。
自分があげられているものは何か。それは「言葉」。結花の支えとなり続けた、「恋する死神」としての言葉。
「心の底から愛し続けたいと思ったのは、全部ひっくるめた彼女だから!」
だが、それではもはや足りぬ。ならば何を捧げるか。それこそは「愛」。「恋する死神」だけではなく、「遊一」だけでもなく。全部ひっくるめて、彼女の全部を愛していく。それは決意、それは宣言。それこそが彼を、本当の意味で男にするものなのだ。
今ここに、全ては一つに定まった。ではここから先は何が待つのか。もしかすると、実はずっと側に居た「彼女」が何かを巻き起こすのか。
けれど心配はないだろう。長い道のりを経て結ばれた二人の心は、もはや比翼の羽根で連理の枝なのだから。
関係性が一つ、本当に望んだ場所へと結実する万感の思い溢れる今巻。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
【朗報】俺の許嫁になった地味子、家では可愛いしかない。6 (ファンタジア文庫) | 氷高 悠, たん旦 |本 | 通販 | Amazon