読書感想:こんな可愛い許嫁がいるのに、他の子が好きなの?2

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前巻感想はこちら↓

読書感想:こんな可愛い許嫁がいるのに、他の子が好きなの? - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、負けヒロインが多すぎる、ではなく許嫁が多すぎる! 敢えてサブタイトルをつけるのならばこの作品はそんなタイトルが相応しいであろう。許嫁が多すぎる、つまりは主人公である幸太に強い思いを向ける相手が多すぎる。そしてヒロインの皆が皆、その思いは譲れぬ訳である。では前巻の最後、一度フラットになった状態で投げ込まれた新たな許嫁と言う爆弾。その爆弾がどう炸裂し、どんな波紋を巻き起こしていくのか。それを今から見ていきたい。

 

 

幸太を「コーくん」と呼ぶ新たな許嫁、その名は二愛。SNSで話題のJK陶芸家として活動する彼女は、先ほども言ったが幸太の許嫁である。そして幸太を支える為、相応しい自分となる為に。十年間も修行を続けてきたちょっとヤンデレ気質な所も可愛い無邪気な幼馴染である。

 

 クリスにとっても想定外、それは彼女が幼き頃の無邪気さ故にとは言え、幸太が自発的に約束した「許嫁」関係であったと言う事。そしてその事実は、元恋人となった氷雨の心をも揺らしていくことになる。

 

「今のあなたじゃ誰とも戦えないわ。あなた、雑魚なのよ」

 

二愛の出現の衝撃も束の間、計画を修正し更なる計画を練るクリス。彼女に突き付けられた、今の自分が幸太を巡るラブコメに参入する力が無い事。それもまた仕方のない事かもしれない。「許嫁」、という武器を無くしてしまえば、彼女は恋愛に関しては不器用な普通の少女。二愛のような無邪気さもなく、クリスのような計算高さもなく。故に誰とも戦えぬ、武器も何も持っていない。

 

 だが、それは諦める材料とはならぬ。幸太に唯一迫れる武器、それは勉強。幸太をまるで狙い撃ちするかのように組まれた期末試験の補習。それに目を付け、クリスにも二愛にも出来ぬ自分の戦い方を始めていく氷雨

 

「・・・・・・盟約の話はまだ有効ですか?」

 

武器が足りぬのならば外部の手も借りる。自分の黒歴史から始まった恋だとしても、諦めぬ。クリスと一時的な同盟を結び、彼女の作戦の元に幸太への告白の道を突き進んでいく氷雨

 

「正解です。―――幸太くん、すきです」

 

 告白の舞台は勉強合宿、方眼紙に込めるは自分にしか出来ぬ告白の形。遠回りする告白は、幸太の心へ確かに届く。

 

「想像して。コータが誰も選ばないほうがみんな不幸だから」

 

だが、届いたからこそ心は悩む。選べぬと尻込みしてしまうからこそ、誰もが幸せになる道を探そうとする。だけど、クリスはそれを許さない。最後に笑うのは自分と言わんばかりに、彼の心に忍び込んでいく。

 

更に深く、より鮮明に。巡る恋心が更に深まる今巻。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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