読書感想:双子まとめて『カノジョ』にしない?2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:双子まとめて『カノジョ』にしない? - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で三人で付き合いだした咲人、千影、光莉の三人であるが。いつまでも隠し通せる、とは限らないだろう。実際、彼等の関係は未だ秘密であるのだから。その秘密が周囲に露呈した時、そこに試練的な展開が待っているのかもしれない。しかしそれは今ではない。 まだ秘密はバレないけれど。今巻は双子の姉の方、光莉の方に焦点を当てていく巻なのである。

 

 

どこか、まるで気紛れな猫のように。いつも笑顔で、周囲を振り回してくる。元々三人で付き合う、という提案も彼女から。ではそんな彼女の本心は何処にあるのか? その辺りに咲人が彼氏として、迫っていくのが今巻なのである。

 

「「だって、大好きなんだもん!」」

 

七月初め、三人そろって一位を取った実力テストも終わり、少しずつ迫ってきた夏休み、恋人同士としての時間の予定を立て始める中。最近の咲人は、二つ悩まされている事があった。一つは、ガチ恋の思いを隠しきれず学校でも、ぐいぐいと迫ってくる双子姉妹。関係が露呈した時、彼女達の笑顔を守るために何とか隠そうとしている中、もう一つの悩みである、最近何故か感じる視線、その主がやってくる。

 

「だから要らん!」

 

それは、この学校にある新聞部。スクープの為なら盗撮も辞さぬ真鳥と、何でもやる今生のある和香奈。実は光莉も幽霊部員ながら所属していた新聞部は、今や人気低迷、廃部も近いオワコン状態。その状態を打開するためにスキャンダルの捏造も辞さぬ彼女達に咲人がハニトラにかけられそうになり。 部長である彩花の謝罪を受けたのち、廃部になって同好会になっても変わらぬと危惧し。生徒会として監査に来た千影に敢えて厳しめに監査してもらう事にし。咲人と光莉は、新聞部を何とか存続させるために協力する事になる。

 

「大事なのは土壌だと言ったな?」

 

職業インタビューとして、咲人の叔母であるみつみにインタビューに行って、咲人のお部屋に初めて訪問する事になったり。その最中、橘先生から言われたのは新聞部が抱える問題、そこにいる光莉の本心。これは光莉の為、という彼女の言葉に引っ掛かるものを感じながら。 逆さに出る杭となるという決意を叶える為、咲人は奔走する事となる。

 

さて、ではここでは何が必要なのか。これは光莉のため、それはどういう意味か? 自由な野良猫のようである彼女が大切にしていたもの、新たに増えた大切なもの。でも、それだけでは駄目だ。自分達が居なくても、そんな場所を作らなければ。

 

「みんなのために頑張りたいと思った?」

 

そう、その居場所になり得る場所こそが新聞部。自分達の為、だけではなく誰かの為、皆の為に。皆で頑張る事で、気付けたこと。大切なもの。

 

それに気づかせてくれた咲人への思いが更に高まって。一つ危機も乗り越え、遂にイベント満載の夏休みがやってくるのだ。

 

更に甘さもドタバタも深まる、確かに一つ面白くなる今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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