読書感想:最強の剣聖、美少女メイドに転生し箒で無双する1



 さて、とあるfateのどこぞの王様は、どんなものでも光の刃を放つ宝具に変える、という宝具を持っていた訳であるが、それはそれとして。画面の前の読者の皆様は、チャンバラごっこ的な遊びをしたことはあるであろうか。何か棒を打ち合わせて遊んだとき、その遊びに用いた棒状のものは果たして何だったであろうか。

 

 

その答えは各自分かれるであろうが、箒、を用いた事があられる読者様はどれだけおられるであろうか。 勿論箒とは、掃除道具であり。例えばメイドさんが持っていたりすると、さまになるものかもしれない。

 

 

そんな感じで箒を振り回し無双するのが、この作品の主人公、アネット(表紙)である。しかし彼女は只振り回す、という訳ではない。彼女の中、前世より引き継がれた記憶と魂、それはこの世界における最強の称号、「剣聖」、その中でも歴代最強と謳われた男、アーノイックとしての力を用いて箒を振る時、それは最強の剣技となるのである。

 

「・・・・・・誰なんだよ、てめぇはよ」

 

が、しかし。彼女は今、かつて剣聖の源流として知られつつも今は没落した貴族の家に仕えるメイドの一族の末裔であり。教育係を務める祖母の拳をよけきれぬ非力な体にちょっと苛々したりしつつ。大病が完治して家に戻ってきたお嬢様、ロザレナとその家族達をお迎えするのだった。

 

が、しかし。お家復興の為に剣聖を目指している彼女に、それとなく諦めさせようとしたら反感を買ってしまい、更には彼女が冒険者になる為に王都に家出し、家族総出で追いついて何とか合流すれば、纏めて人さらいに攫われてしまい。 かつて取り逃した仇敵、ジェネディクトとぶつかり合う事となる。

 

当然、叶う訳もなく。容赦なく、蹂躙される。その筈、そうなる筈。

 

 

「やっぱ、実戦こそが自分を成長させられる鍵だな」

 

 

だが、強者との命がけの死闘、絶体絶命の危機が、アネットの中、こびりついた錆を急速に落としていく。鈍っていた身体が急速に磨かれ、かつての感覚がこの身体に合わせてフィッテイングされていく。 そう、彼女は取り戻していくのだ。かつて剣聖と呼ばれたその力の一端を。

 

その力で窮地を脱し、ロザレナにも懐かれて。目標である聖騎士養成学校へ入学する為、ロザレナが修行に出る事となって。

 

「メイドである私が主人との約束を破っては顔が立ちませんでしょう?」

 

そして五年がたって、約束の再会の日。それぞれに磨かれた力を見せ合って。新たな生活への幕が開けるのである。

 

丁寧に描くからこそ骨太なお話になっているこの作品。まっすぐに熱くなれる作品が読みたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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