読書感想:煽り系ゲーム配信者(20歳)、配信の切り忘れによりいい人バレする。1

 

 

 さて、ついこの間の話であるが私人逮捕系youtuberなる職業の方が逮捕された、というニュースが流れてきたわけであるがああいった配信者も迷惑系、という分類になるのであろうか。迷惑系、というジャンルはその名の通り迷惑な動画を撮って再生数を稼ぐという感じであるらしいが。正直、私にはその良さが余り分からない。動画撮影をするのなら人に迷惑を掛けず動画撮影をした方が、結果として後に人気となれるのではないだろうか。

 

 

と、まぁそんな話題はともかく。この作品もまた、最近増え始めてきたVtuber、ひいては中の人、を題材としたお話であり。夏乃実先生らしい温かさに満ちたラブコメなのである。

 

「お、右から二つの足音。ザコ登場でぇす!」

 

流行りのFPS、ABEXで名を馳せる、個人で十万人の登録者を成し遂げた配信者、「鬼ちゃん」。その配信スタイルは煽り系。敵対するプレイヤーを煽って、中指を立てるように。しかしきちんと、勝ちはもぎ取っていく。

 

「ふーん。ここに台本があるくせによく言うよ」

 

 

しかし、その中身である青年、春斗は煽り系の外面とは違い、本当は誰にでも丁寧で優しい苦労人。煽り系も、人気の為にわざわざ台本を作って演じているだけ。何故そんな事をしているのか、と言うと。早くに両親を亡くし、妹である柚乃と二人暮らし、そして彼女を大学に行かせるために、週六でバイトをしながら配信者として生計を立てる。そんな素の顔が、配信切り忘れと言う最近よく見がちな事故により露呈して。しかしその裏の顔、というより本当の顔がギャップから人気を集め。結果として彼は、一気に人気が爆発していくのである。

 

「実際そんなところあるよ。お兄ちゃんは」

 

しかし彼にとっては、それは今までの自分が迷子になるもの。だからこそ自分を取り戻そうと迷走するも、結局取り戻すことは出来ぬどころか、バイト先の常連である大学生兼プロゲーマーな綾(表紙)を、まるで妹に接するように献身的にフォローしているのも流出し。結果更に迷走しつつも、自分の本当に大切なものを探していくのだ。

 

そんな彼の事を、綾も、柚乃の友達でもある涼羽も気に入っているし、好いている。何とか近づきたいと、そのチャンスを狙っている。その様子がもどかしくて可愛いのである。

 

時にほのぼの、のんびりと。その中で温かな人間性に基づいたラブコメが繰り広げられるこの作品。 心温まる優しいラブコメを読んでみたい方は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

煽り系ゲーム配信者(20歳)、配信の切り忘れによりいい人バレする。 1 (オーバーラップ文庫) | 夏乃実, 麦うさぎ |本 | 通販 | Amazon