読書感想:妹はカノジョにできないのに5

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:妹はカノジョにできないのに 4 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 

 さて、春太と雪季と晶穂、そして春太の心が欲しいと思う数々の女の子達。 妹はカノジョにできないのに、しかしこの作品は妹と絶対結ばれると明言されている。これは一体どういう事なのか? その全てに触れ、そして春太の選択を。その最後まで描いていき、最後に訪れる景色を見るのが最終巻である今巻なのである。

 

 

 

「おまえ、またしばらくウチに住ませるからな」

 

前巻の最後、晶穂が発作で倒れてしまい。担当してくれた医師、碧梧が翠璃のいとこであると判明し。その繋がりを生かして、彼女の事に関してワガママめいたお願いを通して。晶穂の事を放っておけぬと言う事で、また彼女の居候生活が始まる事となる。

 

「わかった、許そう」

 

父親にも話を通し、利用できるものは利用する、というその心意気に大人になった、と表されて。雪季の合格も無事に決まる中、晶穂によって雪季と春太の過ちが白日の下に晒され。しかし、彼女はそれを許したうえで、春太と一旦別れて。彼女との断絶、そして雪季もまた、自分を新たな段階へ進む事を決める。

 

「ハルがカノジョをつくっていいかは別問題だよ?」

 

 別離の時は、刻一刻と迫っている。その中、晶穂から投げかけられたのは、春太もまた進んでいいという事。彼も彼女を作っていい、自分の思いに素直になっていい。ならば彼の気持ちは一体、どこにあるのだろうか。彼は一体、誰のことが好きなのであろうか。

 

 

・・・・・・と、まぁそんな事を聞くのは野暮であろう。何せこの作品は妹と絶対結ばれるラブコメ、なのだ。妹、という時点で候補は二人まで絞られる。ならば後はもう、お分かりであろう。

 

「ここで走り出さなきゃ、ロックじゃないよな」

 

「わかってんじゃん。ロックでいこうよ」

 

全ての関係を清算し、その思いを応援されて。貴方しかいないと親に託され。そして妹に、自分らしい激励の言葉で背を押され。春太は、本当に自分が好きな人の元へと、駆け出していく。

 

 

「常識とか倫理とか、その感情の前ではなにも関係ないんだ」

 

妹はカノジョにできないのに、だけど妹だから好き。その思いは何にも否定させない、崩させない。ならば、何を選ぶ。その答えを真っ直ぐに選んで。一番大切な彼女に届けるのである。

 

結局のところ、この作品は彼と彼女のお話なのであったのだろう。 遠回りしながらも、それでも最後には結ばれて、未来へ歩き出していく。そんなお話だったのだろう。

 

その最後まで、皆様には是非見届けてみてほしい。

 

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