読書感想:貴族令嬢。俺にだけなつく3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:貴族令嬢。俺にだけなつく2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、先に言ってしまえば前巻と今巻は二冊で一セット、後編となる晩餐会本番が今巻であり。エレナもルーナも、それぞれに思いを込め、ベレトに想いを伝えんとしているというのは画面の前の読者の皆様もご存じであろう。それは良い、しかし同時に選べるのは1人だけなのか、と画面の前の読者の皆様は思われたかもしれない。しかしここで忘れてはいけない。この作品は貴族同士のラブコメ、であるという事を。

 

 

まぁ結論から言ってしまうと、重婚というのは別に可能である。しかし貴族の世界における重婚とはどういう事なのか。その辺りがベレトにとって引っ掛かりとなるのも今巻なのである。

 

「それも非の打ちどころがないなら、なおさらで」

 

晩餐会、エレナとルーナ、それぞれとの約束に思いをはせる中、舞い込んできたのは「麗しの歌姫」と呼ばれる公爵令嬢、アリア(表紙)も呼ばれていると言う事。しかしベレトにとっては、逆に立場が上なので気楽に接する事が出来る相手でもなく。また彼は知らぬけれど、アリアにとってもベレトは、憑依転生前の彼にものすごく睨まれた怖い相手。しかし侍女であるサーニャから侍女クラスでは人気であると言う話を聞き。ちょっと安心する中、遂に巡ってくる、晩餐会の本番が。

 

「お言葉ですが、そのようなつもりは本当になかったので、お気になさらず」

 

「では、その内容をお教え願えますか」

 

エレナとルーナにとっては勝負の時、その前に。ベレトから自然に立食に誘い出した事で、侍女であるサーニャから興味を持たれ。彼女の喉のケアに関して、命がけでのアドバイスをしたことで、自分の事をきちんと見てくれているとアリアから認識され、彼女から惹かれていく事となる。

 

「あたしがあなたを好きにさせてあげるだけ」

 

「わがままで生意気な思いです」

 

そして、それぞれに晩餐会を抜け出して。エレナとルーナは、互いにベレトにその思いを伝え。その思いを受け入れるかと悩むベレトは心を決めるも、重婚した場合の妻同士の関係、という貴族特有の話を聞き。そんなものは嫌だから、と貴族としては特異な選択肢をとる事を二人へ自分の選択として告げて。シアも含め、四人の関係は確かに一つ、確かな方向へ、幸せになる方向へと進化して深化していくのである。

 

彼に惹かれたアリアも接近の予感を見せる中、深めた関係の先に何が待つのか。シリーズファンの皆様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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