読書感想:貴族令嬢。俺にだけなつく2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:貴族令嬢。俺にだけなつく - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で転生を果たした事で日本人らしい謙虚な考え方を手にしたことで、実に日本人らしい考え方を手にしたベレトであるが。まずは一番近くにいるお付きのメイドであるシアを魅了し、更には才女であるルーナを魅了し、と来ている訳であるが。一人周回遅れ、かと思われるであろうかエレナの事は。そんな事もない、と分かるのが今巻である。

 

 

そして忘れてはいけない事がある。それはこの作品が、貴族同士の恋愛であると言う事を。身分違い、という程でもないが明確に序列があり。そしてその恋愛は時に利益の皮算用が含まれる。そんな恋愛観のまかり通る貴族界にとって、ベレトはある意味で将来有望な取り込むべき相手なのである。

 

「ふふっ、あなたが悪いのよ? お父様に気に入られるようなことをしたんだから」

 

シアにより侍女のクラスでベレトのいい所が伝わり始める中。エレナから渡されたのは彼女の父親である伯爵からの招待状。ルーナとのレストランでの一幕を見られていた、というのとアランへアドバイスしたと言う部分も相まって、直々のお誘いを受け、伯爵の元へと赴く事となる。

 

「そして願わくば、娘を守ってくれるような頼り甲斐のある男と結ばれてほしいと思っている」

 

伯爵の元、そこで聞かれるのはアランへとアドバイスした内容の本心。彼が見据える方向と、ベレトが想定した方向は同じなのか。経営的な視点から意見をすり合わせ、子供には難しい世界での話に持ち込む事で、その視点を認められて。彼が口にしたのは、招待状にも書かれていた「縁談」という言葉の真意。そう、これはエレナに相応しいのかも考えられたもの。ベレトはそれに見事に合格したのである。

 

 

 それを受け、エレナもまんざらではない様子を見せ。だがそれを聞き心穏やかではないのがルーナである。鈍感な彼には言えない自分の気持ち、けれど秘めているだけでも恋心は大きくなる。彼女の恋に気付いた侍女が微笑ましく見守る中、ルーナもまたエレナへと近づく。

 

「あなたがなにもしないなら、このまま差をつけてあげるから」

 

迫っているのは試練の時である晩餐会。先んじて抜け出す約束を取り付けたエレナ。彼女に負けぬよう、差を付けられぬようにルーナも沈黙を破り晩餐会に参加する事を決め。ベレトから一緒に休憩する約束を取り付ける。

 

鈍感な彼は気づかない、それはきっと転生した根っこの部分が小市民側であるからなのだろう。しかし彼の気づかぬ所で、少女達の恋が始まろうとしている。甘えたいと言う欲を出していくシアも少しずつ、彼との距離を詰めていく中。エレナとルーナにとって勝負の時が迫ろうとしている。

 

次巻、試練の時。一体どうなるのか。期待していきたい。

 

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