前巻感想はこちら↓
読書感想:幼馴染で婚約者なふたりが恋人をめざす話2 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で主人公である悠也とヒロインである美月の二周目だからこその多角的な甘さのあるラブコメに吐血された読者様もおられるであろう。マーライオンが如く、口から砂糖を量産される羽目になった読者様もおられるであろう。そんな話はさておき、こう思われた読者様もおられるのではないだろうか。・・・これ以上、上があったのならばどうなってしまうのか、という事を。
そう思われた事のある読者の皆様、どうかお覚悟いただきたい。これ以上取っ払うものはないと思われていたリミッターが取り払われてしまうのが今巻である。
「―――さすがにそろそろ、理性が軋み始めております」
「―――ならば、いっそ行くトコまで行っちゃうのもアリかなーって?」
夏休みが来て、非日常が始まる中。悠也と美月はそれぞれ、高まる思いと昂る欲求に心をこれでもかと揺らされていた。現状、特に厳しく禁止されている訳でもないから極論してしまえば理性を途切れさせても問題はなく。かといって美月の欲求が分からぬ以上聞けるわけもなく。悶々としながらも、周囲の助言を受け動こうとする悠也。
そんな中、まるでお手本と言うかのように、二人の前には様々なカップルの形が示されていく。
安室と美羽の、将来が末恐ろしい幼女に見初められた少年の、覚悟の重さ。
伊槻と透花の、自分達よりも先を往くカップルの、夫婦としての思いの形。
そして大河と雪菜の、共依存から始まった、二人だけの恋の形。
背負うと言う事、覚悟をすると言う事。いつもの面々と行く夏祭り、花火が上がる中で。毎年恒例の家族旅行、いつもとは違う日々の中で。お互いを見つめ、思いを見つめ直し。二人はそれぞれに抱えた「宿題」へと向き合い、自分の答えを見つめていく。
これからの関係、覚悟を持つなら何か。覚悟を決めて告げるのならば、新しい願いはどんなものが良いのだろうか。
「「―――同じ時を過ごしたい」」
そして二人は、巡り来た誕生日に、二人の答えを重ね合わせる。将来の夫婦として、今を生きて進む恋人として。二人で歩んでいきたいと言う答えを、思いを、お互いへと届けるのである。
恋人を越え、夫婦に進んでいく為に。もっともっとと求める為に、二人で一緒に。交わした約束、それはお互いの「はじめて」を貰うと言う約束。
本当にもう、この二人はとんでもなく純愛をしている。心のHPがゼロになるようなラブコメをしてる。その甘さ、正に限りなし。そう言わんばかりに甘さが更に深まる今巻。
シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。