読書感想:追放王子の暗躍無双 ~魔境に棄てられた王子は英雄王たちの力を受け継ぎ最強となる~

 

 さて、暗躍と言うのは世の裏、舞台裏。つまりは光の当たらぬ陰にて行われる、というのが常識であるのかもしれない。暗躍、それは事態を裏から思い通りに動かす、という事。それは並大抵の労力ではできない。ではこの作品の主人公、リオン(表紙中央)は何故、暗躍をするのか? それは誰かへの慈愛。その相手は、妹であるセレスティア王女(表紙右)なのだ。

 

 

異世界の王国、エルデシア王国。かの国の王族であれば誰でも持ちうるはずの「紋章」を持たぬが故に、西方にある魔物達の住まう大森林、通称「魔境」へと追放され。しかしその森に隠されていた墓所で、歴代の英雄王たちの亡霊からその術を学び。追放から十年、冒険者登録をせぬまま銭を稼ぎ、人里から距離を置きながら。そんな彼の元、飛び込んできたのはセレスティア王女が専属護衛を募集しているというもの。その原因、暗殺未遂の話を聞いて。

 

「あの子に手を出されて、黙っているわけにはいかない!」

 

居てもたってもいられず、急いで墓所を飛び出して。王都に駆け付けた彼は、勇者一族の末裔である実力者、ジゼル(表紙左)との模擬戦を勝ち抜き。セレスティアには拒絶されるも、一先ず護衛になる事には成功し。彼女の傍で、守り抜く事となる。

 

ある時は、彼女が孤児院の者達と手を組み事業を起こそうとしている所を目撃したり。またある時は、身近に潜んでいた暗殺者の、絆された本心を聞いて、逆に暗殺組織を壊滅させて三人の部下を得る事となったり。

 

光あれば、影がある。その影を担うのが、リオンである。常に目立つことなく実力を隠しながら。しかしセレスティアの人気、という光は嫉妬という影を招く。それが王位継承問題にも関わっているとなれば猶更。

 

そこに絡みついてくるのは、セレスティアに隠された生まれの秘密と、この世界の宗教組織である教会の、一部の過激派たちの思惑。 儀礼の場で、彼女の秘密は明かされ。事態の真実を知ったリオンはジゼルと共に教会へと殴り込みをかけ、事態の黒幕との決着をつけるべく並び立つ。

 

 

「―――中る」

 

襲い来るのは黒幕の置き土産、都に迫る最悪の危機。その危機を護らんとするのは、セレスティアの目覚めた力。だが、それだけでは足りず。その足りぬ部分を補うのは、リオンの真の力。人間の尺度では測りきる事が出来ぬ、正しく王たる無双の力。

 

 

しかし、王位を目指し始めたセレスティアを支えるリオンは未だ気付いていない。事態の裏、真の黒幕にはまだ迫れていないと言う事を。 その黒幕は、神器と呼ばれる神の力を、正しい使い方で使用していると言う事を。

 

暗躍して無双、そんな面白さが真っ直ぐにある今作品。 熱いお話を読んでみたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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