読書感想:転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件6

 

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読書感想:転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子と思って一緒に遊んだ幼馴染だった件5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻までの物語の中で隼人と春希、そして沙紀の三角関係は始まりを告げ、と言いたい所であるがまだ始まっていないと言うのも画面の前の読者の皆様はご存じであろう。その原因は、偏に春希が頑なである、という事も。それは仕方のない事かもしれない。何故なら彼女が拘る形は、恋人とは違うのだから。では、この三角関係を始める為には何を投げ込めばいいのか。その答えも簡単であろう。それ即ち、外部からの刺激である。

 

 

その刺激となるのは、彼等の友人である一輝の存在。春希が勝手に親近感を抱き、同類だと安心して見れる相手である彼。彼に変化を齎す事で、ようやく春希に変化の芽が出始めていくのが今巻なのである。

 

「当たり前だろ。イヤっていうほど思い知ってるよ」

 

「えっと。驚いた」

 

春希のふとした仕草や距離感に、女の子を感じドキリとする事は確かにある。だが、心をかき乱される事はないのは何故か。その理由を自問自答する中、隼人の見つめる先で沙紀は更なる開花の時を迎えていく。まるで原石が、都会で磨かれていくかのように。無垢なキャンバスが色づいていくかのように。加速度的にきれいになっていく彼女に、心をかき乱される事が増えていく。

 

そんな彼の隣、開花の時を迎えようとする心を必死に押さえつけるかのように。「相棒」としての顔で、あの日から変わらぬ笑みを見せる春希。だが彼等の関係の傍らで。一輝を取り巻く関係が変化の時を迎えていく。

 

「僕は今、生まれて初めて誰かを本気で好きになったんだ・・・・・・」

 

皆で巡る予定を立てた秋祭りが近づく中。契約により元カノとしての関係を続ける愛梨と向き合い。そして過去のトラウマも受け止めてくれた姫子へと心が傾き。秋祭りの夜、過去との決別を果たした事で。彼は今まで耽溺し、甘えていた関係から動き出す事を決意する。何かを確かに始める事を決意していく。

 

その感情を見せつけられた春希の心の中、気付かされるのは今のままでは真似できぬ気持ち。今のままでは、いずれ得られなくなってしまうかもしれぬ気持ち。だが、そんな気持ちを得る事を一輝は選んだ。その決断が、その思いが導く顔が。春希の中、封じていたはずの気持ちを目覚めさせていく。

 

想いは言葉にしなければ伝わらない。彼は決意した、ならば彼女はどうするのか。このままでは何れ周回遅れ、では彼女が出す答えとは。

 

確かに何かが始まる今巻。次巻、勝負の時、なのかもしれない。

 

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