読書感想:なーんにもできないギャルが唯一できるコト2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:なーんにもできないギャルが唯一できるコト - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻でギャルであり義妹であり、神絵師である涼風との関係が始まり、後に「宝くじ」が当たったようなもの、と語る主人公の新太であるが。その本当の意味とは、どういう事なのか。それが今巻で明かされるのか、と聞かれて鈴木大輔先生の作品に詳しい読者様であれば、最近はそうでもない、と答えられるであろう。 頁数を細かく、その中にぎゅぎゅっと詰め込み、そしてストーリーはじっくりと。それが最近の鈴木大輔先生の十八番の展開である。

 

 

 

そしてもう一つ、鈴木大輔先生の最近の十八番の展開、というものがある。それは意外な所からの繋がり、というものだ。 実は大きい関係に見えて、よく判明してみると実は近くで纏まっていた、という展開へと繋がっていくのが今巻なのである。

 

「ワシにワレの歯磨きをせえと。そお言うとんのかい・・・・・・?」

 

「うん。 して?」

 

 

相も変わらず、自分の興味があること以外への興味はゼロ、生活能力壊滅的なのは治らず。それどころか新太にどんどんと依存していく、寄りかかっていくようになった涼風に朝の歯磨きを要求されて。 ここは一つ、分からせると言わんばかりにエロい展開で見るような歯磨きをしてみたり。 そんな日々が繰り広げられても、やはり涼風を取り巻く問題はそう簡単に、何かが好転する訳でもない。

 

「わたしのマネージャーになってくれる?」

 

しかし、確かに何かが変わる伏線はばら撒かれる。 涼風がとある交換条件と引き換えに、新太をマネージャーとして起用し。彼女の窓口代わりとして折衝を担当する事となり、早速出版社等の依頼先との仲立ちをする事となっていく。

 

 

「ゆいって誰ねらいだと思う?」

 

しかし、そこに絡んでくる存在がある。それは、地雷系ギャルであり涼風の友人でもある唯である。 新太に奴隷になれ、と脅してくる割には本気性を感じさせる事もなく。しかし二人の事情を知っているかのような挙動を見せ、二人で暮らしている家にまで押しかけて来て。気が付けば2人の生活に絡んできて、何故か可愛らしいしぐさで新太の心を煽っていく。

 

「まあいっけどさ、目的は果たしてるし」

 

その心の奥、隠れていたのは強かな戦略。では何故、彼女はそんなものを目論んだのか。その目的の理由は涼風によって明かされる。唯もまた、隠された顔を持っていたのである。涼風に繋がる、違った顔を。

 

新たな関係も増え、また少しだけ動いていく今巻。前巻を楽しまれた読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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