読書感想:女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話4

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前巻感想はこちら↓

読書感想:女同士とかありえないでしょと言い張る女の子を、百日間で徹底的に落とす百合のお話3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、同棲も親への報告もこなし、受け入れられなかった事もあれば、受け入れてくれる人もいて。公認同性カップルとしてますます磨きのかかっていく絢と鞠佳の二人。しかし周りを見てみると、この二人以外にもこの作品には同性の恋人が多いと言う事は画面の前の読者の皆様もお気づきではないだろうか。鞠佳と絢の恋だけではなく、彼女達もまた同性を相手に恋をしている。 そして、彼女達の恋路を描いていくのが今巻であり、群像劇的な味を出していくのが今巻なのである。

 

 

ふとした切っ掛けで巻き起こった同棲生活があった冬休みも終わり、新学期。新しい季節が迫る中、相も変わらずラブラブな二人。しかし、鞠佳は「絢に大事にされ過ぎているのではないか」というふとしたモヤモヤを抱きながらも、あっさりと絢に解決されたり、いつもと変わらず絢に振り回される日々を過ごしていた。

 

 二人の目の前、進む季節は待ってはくれない。冬休みを越えた新学期、待っているイベントとは一体何か? 画面の前の読者の皆様であればもうお分かりであろう。バレンタインデー、恋人達の聖なる日である。

 

女同士、そんな事柄がバレンタインデーを遮る訳もなく。鞠佳は級友である夏海と悠愛と同盟を組み、それぞれの想いを遂げるべくチョコレート作りに励む事となる。

 

 それぞれの想い巡る群像劇的日々、来るべき勝負の日へ向けて高まっていく気持ち。しかし鞠佳の気持ちに水を差すように、彼女の心を揺らす出来事が待っている。

 

夏海の部活の後輩であり想い人、晴。彼女が絢へ向ける視線がどうしても気になってしまう、更に心を揺らす不安がもう一つ。悠愛の恋人である知沙希が自分も知っている要注意人物、アスタと秘かに接していると言う事実。

 

 揺れ惑い、戸惑い。そして悠愛や夏海の恋に向き合い、その恋に触れていく事で自分もまた、絢との恋を見つめていく鞠佳。愛しているからこそ、大切だからこそ。絶対に誰にも渡したくないと言う想いが改めて芽生えていく。

 

「もういっこのプレゼントは・・・・・・あたし、だったり」

 

だからこそ、最後は全部を差し出すように、捧げるように。真っ直ぐに、自分の全てを鞠佳は絢にラッピングし差し出していく。それが出来るのは鞠佳だけ。その結果はどうなるのか。そこは案外、聞くまでもないだろう。

 

ここまでは既に台本は出来ていた。けれどここからは何処にも台本は無い。来るべき高校三年生という一瞬は誰も見た事が無い。その未知の景色には一体何が待っているのか。

 

前巻を楽しまれた読者様、やっぱりガルコメが好きと言う読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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