読書感想:男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと2 百合の間に挟まる男として転生してしまいました

 

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読書感想:男子禁制ゲーム世界で俺がやるべき唯一のこと1 百合の間に挟まる男として転生してしまいました - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、基本的には異性愛者、性的嗜好はノーマルだけれど本人の思考はまごう事なき百合厨、百合を絶対視し神聖視しているこの作品の主人公、緋色であるが。彼の中の人はこのゲーム世界を知り尽くしているのは勿論であるが、そんな彼にとっては緋色、という今の自分自身を殺したいというのは当然、画面の前の読者の皆様もご存じであろう。しかしこのゲーム世界には、もっと面倒な敵であり彼にとって殺したい敵が存在するのだ。

 

 

 

それは己を神だと詐称した魔物、魔神の眷属である魔人。己の興味と心のままに生き、人々の幸せをぶっ壊していく者達。そんな存在達は、現実となったこの世界で介入の時を待っている。緋色がゲームの枠組みを超え、活躍した事で狂いだした物語の中、予想より早く動き出していくのだ。

 

豪華客船で行われる魔法学園のオリエンテーションヒイロにとっては、百合好きとしては正に桃源郷であるイベント満載の場であり、自分の元に集まりだしているフラグを叩き折る為の行動を始めるいい機会。 予想通り魔人の一柱、アルスハリヤの眷属による襲撃イベントが巻き起こり。狙われたラピスを助ける為に乱入したら、眷属を叩きのめすと言う結果を出してしまい。慌てて眷属を脅して自分に怪我をさせるも、結果的に看病と言う形で自分の周りに少女達を集める形となってしまう。あまりに想わぬ結果にこの世界そのもののバグを疑い、溜息を吐いて嘆いて。しかし状況は、既に彼の知らぬ所でもはや取り返しのつかぬ方向へ突き進んでいた。

 

ヒイロにとって二人目のヒロインである緋墨との邂逅、一度命を助けれど、結果的に激突は避けられず。それどころかイベントが捻れ、ヒイロに興味を抱いたアルスハリヤ(表紙)本人が襲来する、という事態となってしまい。想像よりも早いボス戦が始まる。

 

「嘘だろ。初対面で、挨拶の途中だぞ」

 

百合を踏み躙り、それどころかヒイロをルートによってはサポートする彼女は、ヒイロにとっては必滅すべき憎き宿敵。挨拶イベント中に全力で攻撃を叩き込んで開戦し、一気にシリアスへなだれ込む死闘が巻き起こる。

 

しかし、緋墨は泣いている。その理由を知るからこそ、彼女の事もまた救いたいと願い。救う為に、己の命すらあっさりと投げ出さんとする。

 

「俺は、英雄だ」

 

我ここに在り、全ては彼女の笑顔のために。彼に託される、魔神に挑み散っていった者達の力の結晶。その力を自らへと流し込み、限界を超えて。命と引き換えに、アルスハリヤに最後の一撃を叩き込む。

 

どう考えてもとんでもない状況になる今巻。果たして彼は生き残れるのか。画面の前の読者の皆様も楽しんでほしい。

 

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