読書感想:虚ろなるレガリア5 天が破れ落ちゆくとき

 

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読書感想:虚ろなるレガリア4 Where Angels Fear To Tread - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、日本人が変じた魍獣とはそもそも何なのか、不死者とはそもそも何故生まれるのか。あと、何故彩葉の記憶はないのか。この作品において、様々な謎がある訳であるが。そのほぼ全てにこたえがあかされ、一つの戦いが終わりを告げるのが今巻なのである。

 

 

数々の出会いと別れを繰り返し、ようやくたどり着いた京都。各国家の緩衝地帯であるそこで待っていたのは、ジュリやロゼの父親であるユーセビアスが率いる部隊。依頼主の粋な計らいと言わんばかりに宴会が繰り広げられ、八尋達も歓待を受け。しかしそれは迦楼羅が籠城する天帝領への侵攻作戦に関わらせまいとする妨害。珠依と引き離されその身柄を奪われ、更には東京支部の解散も決められ、八尋も囚われてしまう。

 

「お待ちかねの正餐の時間です」

 

が、しかし。この瞬間に全ての軛が外れた事で、ロゼ達復讐者の牙が解き放たれる。魍獣を通じ救助を要請してきた迦楼羅の元に向かう八尋達、珠依の奪還に向かう部隊員達の二手に分かれ、それぞれの作戦が始まる。・・・が、しかし。迦楼羅に導かれ訪れた地の底で待っていたのは、衝撃の事実であった。

 

「時間が経ち過ぎたのですよ」

 

それは、世界観そのものをひっくり返すもの。魍獣が生まれるメカニズムにも触れるもの。そして、龍の巫女が誕生した秘密にも触れるもの。一先ず神器を回収し、脱出し。だが八尋達を進ませるために、迦楼羅はその命を散らせる。

 

更にそこに面倒な知らせは舞い込む。善と澄華の手も借りていた珠衣奪還組は、雷の龍の巫女と不死者コンビの乱入、更には珠依の目覚めと言う予想外が発生し。丹奈と樹、珠依が合流してしまった事で世界の終わりが始まり、世界各地に冥界門が出現する。

 

もはや一刻の猶予も無し、世界を滅ぼさんとする珠依達は何処にいるのか。それを教えてくれたのは、八尋に関わりの在った意外な人物。決戦の地は、二十三区。全戦力を結集した援護と、仲間達の献身により。八尋と彩葉は、送り出されて突き進んでいく。

 

世界をこれからも続けていくため、彩葉は何を願うのか。

 

「みんなでやるんだよ」

 

それは、一人ではなく皆で。巫女に全てを背負わせるのではなく、皆でその責任を背負っていくと言うもの。最後の戦い、願いと願いがぶつかり合うそれを制するのは、世界中の人々の願い。

 

 

その先に世界は、また続いていく。だけどもう少しだけこの作品は終わらない、らしい。まだ語られるべき事が残っているらしいのだから。

 

一つの決着という感動がある今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。