読書感想:姫騎士様のヒモ4

 

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読書感想:姫騎士様のヒモ3 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、そも人が油断する時はいつであるか、という問いかけに対し画面の前の読者の皆様はどう思われるだろうか。その答えは数多くあれど、やはりその一つとして全てが決着した、と思っている時という答えもあるかもしれない。例えば一つの大きな戦いに勝った時、その後にあるのは安堵と油断であろう。もしそんな時に奇襲をかけられたり、裏で次の局面に繋がる一手を打たれていたりしたら。それこそ対応が遅れて大惨事、という事になりかねない。

 

 

「正直信じられないけど、君はどう思う?」

 

アルウィンの「迷宮病」を治療する為、マクタロード王国の跡地への旅行をし、帰還してみれば「灰色の隣人」に溢れていたのは祭りを祝う、弛緩した空気。聞いてみれば「蛇の姉妹」のベアトリスとセシリアを始めとする高位冒険者達の一斉攻撃により、スタンピードを制御していた邪教集団は滅ぼされ。伝道師と思しき者も既に討伐されていると言う事実。

 

果たしてこれで本当に終わったのか。恐らく「伝道師」はアルウィン達と出会っている。その仮説に迫る間もなく。アルウィンにはスタンピードに関わっていると言う嫌疑がかけられ、更にマシューと彼女の家は、強盗が放火した事により焼失していたのである。

 

一先ずはデズの家に転がり込み、やるべきことをやる為に。噂の出どころを探すのと伝道師の生死について探る中。かつて倒したはずの悪人がその姿を再び見せ、事態はきな臭さを増していく。

 

一刻の猶予、も削られていく。建国祭は止められない。ではどうすべきか。蛇の道は蛇、と言うべきか。「群鷹会」に手柄と金銭を対価として協力を依頼し。第一報は集まる中、伝道師からの刺客による自爆テロへと巻き込まれる事となる。更にはギルドマスターも闇討ちされ重傷を負い、事態はより手づまりな方向へ。

 

この事態を解決するならば、どんな力が必要か。それは多くの力。今回の件はもはや、マシューやアルウィン達だけでは手に余る。

 

「力を貸してほしい。頼む」

 

アルウィンがたきつける形で真摯に頭を下げ、冒険者達を巻き込み。この街の全ての戦える者達を巻き込んだ迎撃準備が整う中、伝道師は再び姿を現し、スタンピードの幕が再び上がる。

 

自らの「神器」の使い方を知ったデズが暴れ回り、裏の者達も表の者達も皆で力を振るい、伝道師を追い詰め。けれど一歩間に合わず、迷宮の奥より魔物の群はあふれ出る。

 

「『地獄に堕ちろ、クソ野郎』」

 

絶体絶命の危機の中、アルウィンは一つの覚悟を固め。その力に手をかけ、そして汚す。自分のものにせんと、受け入れながら中指を立てるのだ。

 

これは一つの終幕か。いな、新たな始まり。起こってしまったものはもう変えられず。想定しない再会はマシューを待っている。

 

シリーズファンの皆様は是非。 きっと貴方も満足できるはずである。