読書感想:日本語が話せないロシア人美少女転入生が頼れるのは、多言語マスターの俺1人3

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:日本語が話せないロシア人美少女転入生が頼れるのは、多言語マスターの俺1人2 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻の刊行からなんと一年以上、画面の前の読者の皆様ももしや打ち切りか、と思われていたのではないかと思われるが安心して欲しい。この巻の感想を書いている通り、無事に刊行されているので。何が原因であったかと言うと、今現在ロシアが引き起こしている戦争のせいである、というのが後書きで語られている。本当にかの戦争は迷惑しか振りまかないものである。というボヤキはさておき、最終巻である今巻では何を描いていくのか。

 

 

それは伊織改めイオリの選択、チーナの選択。本当に恋人同士となった二人のいちゃいちゃを描きながら、未来に向けて一緒に歩いていくための道を選んでいく二人と周りの仲間達を描いていく巻なのである。

 

「ええっと、俺たち・・・・・・付き合い始めました」

 

新年を迎え、仲間達に改めて交際を報告し。最後の一年、やっとこさ恋人になった二人の、いちゃいちゃが始まるのか、と言われるとその通りではあるのだが。イチャイチャしているだけでは終われない、と言わんばかりにやっぱり厄介事がやってくるのが今巻なのである。

 

生徒会長の転校により新たに生徒会長に就任した横手という女生徒が恋愛禁止の明文化という方針を打ち出し、更には詩織の仲間達であるララバイのメンバーが纏めて転校してくるという事態がやってきて。それを乗り切ったかと思えば、やっぱりまだ伊織を利用しようとしている詩織がフレンドシップデーというイベントで、策を仕掛けて来たり。

 

「でもお父さんは、家族仲良くしてほしかったんだと、思うよ」

 

それでも、もう詩織の影には囚われない。血の繋がりなんかより心の繋がりを選んだから。だけど、部外者である筈のある者の言葉がどうにもこびりつく。本当の意味ではもう取り戻せない、その景色がちらつく。

 

『私の未来に、ヨリも入ってきてよ!』

 

そう、結局誰もそう簡単には変われない。不安も慎重も変わらない、だから進路問題を前にしてイオリとチーナはすれ違ってしまう。相手の事を一番に想うからこそ、本当の思いが言えなくて。基地内の大学に通う事を目指すチーナと、本国の士官学校を志すイオリでは待っているのは超遠距離恋愛。その未来を前に、本音をため込む事で、二人の思いはこじれていく。

 

ここで拗れてしまったままでは、バッドエンドであっただろう。だがそうはならない。何故か。

 

「久しぶりに青春したくなっただけだこの脳筋が!」

 

それは、彼等が一人ではないから。言葉足らずなイオリの足りぬ部分を埋めてくれる親友がいるから。総司にぶん殴られ目が覚めて、イオリは真っ直ぐな思いをチーナに伝える。

 

『お前ら、愛してるぞ』

 

そして、十年の月日が経った頃。二人の間に二人が増えて、四人となった彼等の絆。それはきっと、イオリの父親が切望していた幸せの光景、であるはずだ。

 

最後まで変わらず、真っ直ぐに駆け抜けていく今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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