読書感想:ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います6

 

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読書感想:ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います5 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻までの戦いの中で幾多の魔神を打ち倒し、人の身でありながらも神域スキルを発動させたジェイドと、神域スキルのその先の可能性を引き出して見せたアリナであるが。「あの方」と呼ばれる、黒幕の野望を一つ、打ち砕いただけというのは前巻まで読まれている読者様であればご存じであろう。ここで画面の前の読者の皆様、こうは思われた事はないだろうか。黒幕、果たしてどのくらいの強さを持っているのか、と。その答えの一端が明らかとなるのが今巻であり、第二部開始と同時にこれでもかと絶望に打ちのめされる巻である。

 

 

『あなたはもう、戦わなくていいよ』

 

ジェイド達「白銀の剣」が実質活動休止中な中、舞い込んできたのは新ダンジョン発見の一報。一つでも多大な残業を招くその一報が同時に五つ。おりしも受付嬢にとっては大切な長期休暇取得期間に被った事で、アリナの長期休暇期間はあと三日ほどとなってしまい。解決策としてボスをぶっ潰しに向かった先であったのは、あまりにも自分に似すぎている偽物。一先ず偽物の方に先に対処する事に決め、魔物の襲来に見せかけおびき出し、社畜にしか効かぬ呪文で心をへし折り。「フェイク」と名付けた偽物と共に何とか仕事を終わらせ、フェイクとジェイドを伴い故郷へ帰る。

 

故郷へ帰る途中、離脱したフェイクが遺したのはシュラウドの書を探せ、というもの。その真意を慮る間もなく、その姿は消え。ロウとルリナとも合流し、弟であるアシュリー(表紙左)とも再会し。アシュリーにジェイドが絡まれたり、という件もあったりする中、久方ぶりの穏やかな時間は流れていた。

 

だが、そこにはやはり不穏が忍び寄る。アシュリーを狙い襲来する、ロウの元同僚。そして、シュラウドが死んだダンジョンで遭遇したのは「剣聖」。この大陸において王にも等しい、伝説の一人。

 

「私が相手をしてやろう」

 

「あの方」の正体であるとあっさり明かした彼は、アシュリーに託されていたシュラウドの書を奪い取らんと襲い掛かり。本体と比べ、圧倒的に格が低い分身相手であっても、容易くアリナ達は蹂躙され決して勝てぬと絶望を叩き込まれる。

 

その場へ増援として現れたフェイク、「剣聖」の一瞬の油断から奪い返した「書」から現れるのは会いたかった彼。だがその援護を以てして、アリナの神域スキルの先の力を以てしても。剣聖に小動の動揺を与える事も叶わず。

 

真の黒幕、その強さ、正に圧倒的。さてここから、彼等に逆転の目があるのか。

 

新たな戦いの始まりとなる今巻、シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。