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読書感想:ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います2 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、今まで自分の残業を防ぐため、全てを大槌でぶん殴り解決してきた我等が(脳筋)受付嬢、アリナ。彼女の仲間とも言える、ジェイド達「白銀の剣」。そんな彼女達の目の前に時折姿を現してきた謎の存在、「黒衣の男」。画面の前の読者の皆様の中にも、その正体が気になるという読者様もおられるであろう。だが安心していただきたい。かの謎の敵の正体が判明し、決着をつけるべく戦う事になるのが今巻なのである。
今日も今日とて、数週間前に発見されたばかりの新ダンジョン、「大迷宮」に関する業務に忙殺され。ようやく攻略を開始したジェイド達に業を煮やして「処刑人」として乱入し、大迷宮をぶち壊す勢いで攻略するアリナ。
そんな彼女の目下、目線の先にあるのは二つの事項。人事部に掛け合い許可を得た、一番良い業務改善の案を齎した者に与えられる特別休暇。もう一つは、冒険者の相手をしなくて済む「受付嬢合同研修」である。
何故か特別講師としてついてきたジェイド達も連れ、訪れたギルド本部、S級ダンジョンを改装し作られた場所で研修に励むアリナ。
が、しかし。現実はそう簡単にはいかなかった。アリナの心を乱す因子はすぐ側にあったのである。
話を聞いてみたかった伝説の受付嬢が、実はただの仕事中毒であると判明し魂を抜かれたり。押してダメなら引いてみろ、を実践するかのように適切な距離を保ち近づいてこないジェイドを見て謎のもやもやとイラつきを覚えたり。
そんな中、遭遇するのは研修棟に存在する幽霊騒動。だが、事態はそんな簡単なものではない。謎の存在に導かれ、訪れたのはかつてダンジョンだった本部の、誰も知らぬ隠しエリア。
そこは、一つの決戦の舞台であり、一つの悲劇が起きた場所。そこで待ち受けていた「黒衣の男」は正体を明かし、何故今までの事件を起こしていたのかを説明する。
「彼」に邪な目的はあったのか、否、ない。ただ「彼」は取り戻したかっただけ。失ったものを取り戻す為にもがいた成れの果てであっただけ。
その想いに汲むべき所もあったかもしれない。しかし、それでも今は止めるしかない。
「残った人の、生きる力になる」
何故なら、知っているから。遺されたものがどれだけ辛いのかという事も。置いていった者達が遺してくれたものが、どれだけの力になるのかという事も。
他者のスキルとの複合と言う新たな力を獲得したジェイドと力を合わせ掴む勝利。
だが、彼女達は知らない。眠る脅威がすぐ側に潜んでいる事を。意外な者がいつか脅威となり得ることを。
一つの戦いの決着となる、独自の熱さと面白さが更に高まる今巻。
シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。
ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います3 (電撃文庫) | 香坂 マト, がおう |本 | 通販 | Amazon