前巻感想はこちら↓
読書感想:ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います6 - 読樹庵 (hatenablog.com)
さて、前巻で全ての事態の黒幕である「あの方」こと、「剣聖」のどう足掻いても勝てない絶対的な絶望を刻み込まれたアリナやジェイド達であるが。そんな絶望にも立ち向かわなければいけないが、そもそもアリナは受付嬢であるので仕事と言う絶望にも立ち向かわなければならず。そしてジェイドにとっても、立ち向かわねばならぬものはもう一つある。
それは、想い人であるアリナとの恋路。しかし今までは攻めるだけだったがこれは本当に正しい事なのか。押して駄目なら引いてみろ、という言葉がある。それを実践してみたらどうなるのか。そんな意味でも、今巻ではジェイドが割と主役なのである。
「今年からランク査定をクエストカウンターでも受け付けることとなりました」
強くなる、その為に必要なのは神域スキル。その鍵を握るのは「聖女」や「守護者」達、「四聖」と呼ばれる実力者たち。折しも、接触できるチャンスは今くらい。「四聖」が滞在する街へ向かうジェイド達。しかしアリナはお留守番をして、ジェイド達抜きで新たな地獄へ挑まねばならなかった。それは年一回の地獄。荒くれもの共のランク査定という重鎧必須な面倒事。時にキレて冒険者を牢屋に叩き込んだりしながら、個人主義という面倒事の原因の一端に向き合ったりしつつ。気が付けば職場環境を少しだけ改善したりしながら、アリナは何とか激務を片付けていく。
それを余所に、「四聖」の集う街でジェイド達は「聖女」であるレベッカと出会い、その協力を得ることに成功し。しかし神域スキルを手に入れる為に向かった塔にて「守護者」のアランに阻まれる。だがそこに、アランにとある用事があったアリナが強引な方法で合流し。結果的にアランの弱みを握った事で、協力させる事と成功する。
けれど、やはり「剣聖」が何も仕掛けてこないわけがなかった。彼により仕向けられるのは、「神喰い」と呼ばれる魔物。二百年前に、当時の「四聖」が封印する事しか出来なかった、一度受けた攻撃を全てコピーする強大な敵。
そのコピーには、神域スキルも複合スキルも見境はなく。全ての攻撃をコピーし際限なく強くなるその魔物。対するには、神域スキルを身に着けるしかない。まがい物ではない本物を。鍵となるアリナを護るために。
「―――目ぇ覚めた」
そう、神域スキルに手を届かせるには残っていたのは最後の条件。何も混じり気のない純粋な願い。「護る」為の「盾」でありたい。彼女を護る唯一の盾としての願いが真に固まる時。並び立つ素質を持つ絶対無敵の盾が目覚め、全ての時間を稼いで見せる。
けれどやはり、「剣聖」はまだ動きを止めていない。今度はアリナの心に直接ダメージを与える一手を打ってくるのだ。
果たして今度の絶望は、壊すしか出来ぬアリナに壊せるのか。シリーズファンの皆様は是非。
きっと貴方も満足できるはずである。