読書感想:経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。 その5

 

 さて、恋人同士と言う物は付き合いだしたら、最後に行きつくのは何処であろうか。それは言うなれば、性行為という愛の証に他ならぬ、のかもしれない。特に若いカップルにとっては。ではこの作品の主役カップルである龍斗と月愛にとってはどうなのだろうか。あの二人が、そう簡単にその段階までいけたりするのだろうか。

 

 

「・・・・・・月愛が思ってる以上に、俺、ちゃんとエロいから」

 

無論、そんな訳もない。なんせ龍斗はドーのテーである。そういう空気になるタイミングが分からないし、月愛に真っ直ぐに問いかけられても、答えられる訳でもない。だけどきちんと大切には思っているし、きちんと性欲だってある。その、控え目なれど強い欲にどう向き合っていいか分からず月愛が戸惑って。一先ず意識を逸らすように、朱璃と祐輔の間を取り持とうとして見ても、朱璃のあまりにもツンデレな不器用過ぎて失敗したり。心の片隅に留めながらも戻った日常、その先に待っているのは修学旅行。

 

「あんなに褒められてて、なんで気づかないかなぁ、伊地知くん・・・・・・」

 

「センパイに会えたのが、あたしにとっては一番のプレゼントだよ・・・・・・」

 

「何か一個でも、俺が勝てるとこってあるのかなぁ・・・・・・」

 

 皆で集まって、最初からてんやわんやしながら観光地を巡りながら。龍斗と月愛の周りで、幾つもの恋が新しい始まりを迎え。その裏で恋の一つが、始まる事も出来ずに散っていく。

 

素直になれない朱璃と、鈍感すぎる祐輔が思いがすれ違って更に絡まり。再び留年してしまった柊吾と、自分達の関係をどうするのかの決断を委ねられた笑琉が涙の後で、もう一度向かい合い。その裏で、その光景を目撃した蓮の恋が始まる前に終わってしまう。どう足掻いても勝てない、という事実をこれでもかと思い知らされてしまう。

 

失恋を知り、少年は一つ大人となって。その裏、愛し合う柊吾と笑琉を二人きりにするために皆で協力したりして。賑やかに旅行は進む中、月愛は龍斗へ対する思いが膨らんでいく。性への想いが高まると共に、自分だけが何も始めていない、何も進んでいないと言う事実に向き合っていく。

 

思い通りにならぬ、それは恋。切ない人間関係の先、其処に待っているのはそれぞれの道。皆少しずつ変わっていく、己の道を見つけ出していく。

 

「・・・・・・もらってくれるかな?」

 

そしてやってきた龍斗の誕生日。新たに始めたバイトで得た金できちんとプレゼントを準備した月愛はもう一つ、プレゼントを用意する。お互いの関係をさらに一歩進める、爆弾級のプレゼントを。

 

群像劇的にそれぞれの恋愛が楽しめる中、龍斗と月愛が新たな段階の甘さを迎える今巻。シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

経験済みなキミと、 経験ゼロなオレが、 お付き合いする話。その5 (ファンタジア文庫) | 長岡 マキ子, magako |本 | 通販 | Amazon