読書感想:彼女は戦争妖精2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:彼女は戦争妖精 1 - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、昨日に引き続き今巻の感想を書いていくので前巻何があったのかを振り返る必要、というのもあまりないかもしれないが、画面の前の読者の皆様、こうは思われたことは無いだろうか。妖精が楽園に帰る為に戦う「鞘の主」達に何かメリットは無いのだろうか、と。その辺りまで含め更には伊織の周りを混沌とさせていきながらも少しずつ情報を出していくのが今巻なのである。

 

 

 

「・・・・・・このクソガキ」

 

天真爛漫、かつ縦横無尽なクリスに振り回される生活も徐々に慣れ始め、段々御し方も分かってきた伊織。溜息を尽きながらも、の生活は更に面倒事の気配を孕ませていく。

 

「とりあえず、あしたウチにきてくれ」

 

その呼び水となるのは、薙刀部所属の学園の「王子」、常葉の訪問。今まで関わりの無かった彼女の訪問に波乱を感じながらも訪ねた彼女の家、そこにいたのは戦いを好まぬ優しきウォーライク、リリオーヌ。同じ「鞘の主」として話し合い、現状明確に敵対する理由がないと言う事が判明し、伊織は胸をなでおろす。

 

 けれど、一度飲み込まれた戦いは決して彼等を逃がしてはくれなかった。伊織達の知らぬ所、語り合う「男爵」と「美しい人」。街を謎の通り魔事件が脅かす中、二人だけで出かけたリリオーヌとクリスが狙われ。更には伊織は常葉の勘から出た、薬子を信用しすぎるなという忠告に揺れる。

 

折しも薬子は母親の危篤で不在、それを狙い襲い来る通り魔。それは常葉をも狙い動き、囮として薬子と伊織がそれぞれのパートナーと共に動こうとする中。伊織を狙い「美しい人」に差し向けられたコンビ、健二とマラハイドが迫りくる。

 

「・・・・・・リリオはクリスが守るよ」

 

「だそうだ」

 

 だが同時、常葉は通り魔の正体である兄のように恋慕う知己の相手と相棒であるグロリア―ナと相対し、リリオーヌからのSOSがクリスの元に舞い込んでいた。その思いを組み伊織は常葉の元に向かい、その場を引き受けた薬子が三十もの始末をしてきた健二達を手玉に取るほどの力を見せつけているとも知らず、伊織は新たな敵と相対する。

 

だがそれは果たして、本当に正しかったのか。明かされた事実、それは妖精が楽園に帰るとき、その主は一つだけ願いを叶えられるという噂。とある事情によりその噂に縋っていた敵を、伊織は終わらせてしまった。敗北は全ての忘却、故にもう救えない。

 

 

どこか後味の悪い結末の先、待っているのはビターエンドと新たな敵の気配。果たして戦いを積み重ねた先、どんな結末が待つのか。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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