読書感想:スパイ教室08 《草原》のサラ

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:スパイ教室07 《氷刃》のモニカ - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で一人残されていた落ちこぼれ、サラが声を上げ。一縷の望みをつないだ主人公達「灯」の面々。しかしここから「白蜘蛛」擁する「蛇」を打倒することはできるのか。画面の前の読者の皆様も気になられている事であろう。その答えが描かれるのが今巻であり、一つのシーズンの終幕となるのが今巻なのである。

 

 

 

「なーに、一人でカッコつけているんだよ」

 

「まったく。この超頼れる先輩たちを忘れているんじゃないですか?」

 

残されたのはサラ一人に非ず。かつてサラと同じように任務から外されたジビアとリリィも合流し。「灯」に残された最後の戦力、三人による総力戦が幕を開ける。

 

「最後の化かし合いにしようぜ、バケモン」

 

 そしてそれはまた「白蜘蛛」の望むところであり。「紅炉」の遺志を継ぎ人類史上最悪の極罪を犯すと思われるクラウスを殺す為、彼等もまた動き出す。しかしサラたちは簡単には動けなかった。モニカの策略によりCIMのスパイのほぼ全てから「灯」は軽蔑される事になってしまったのである。

 

当然、信用もしてもらえないし動きも制限される。そんな中、アネットがモニカを殺す為に脱走し、監視される中で追いかける事となり。

 

「自分は、仲間を誰一人死なせないスパイになるんです」

 

暴走するアネットと向き合い、見つけた自分だけの願い。それを叶える為には、「白蜘蛛」に対処せねばならぬ。

 

裏でクラウスがCIMのトップと何らかの謀略を巡らせ、白蜘蛛もまた動く中。語られるのは「蛇」の成り立ち、そして「焔」壊滅の真実。「暁闇計画」という計画を巡る考え方の違いの末の逃れられなかった結果。

 

本格的な戦いが始まる中、クラウスは唐突に護送され。更には「鳳」がよみがえった、という不確かな噂も揺らす中。決戦は容赦なく幕を開ける。

 

「だから、アナタは『炯眼』の正体までは見破れなかった」

 

 絶体絶命のその中、「白蜘蛛」に対する切り札は何か。それは既に仕込まれていた奇策。「彼女」だからこその騙し方で作り出された虚像、一度きりの切り札なのである。

 

だが、まだ戦いは終わってはいない。巨大な小悪党を打倒すれど、全てを殺しきれたわけではなく。謎につぶやかれた「虹蛍」という名、そして「暁闇計画」の正体。それが予見するのは再びの大戦。果たして世界が再び大きく動き出そうとする中で。「灯」は一体、どう動いてくのだろうか。

 

シリーズファンの皆様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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