読書感想:英雄と賢者の転生婚1 ~かつての好敵手と婚約して最強夫婦になりました~

 

 さて、突然ではあるが画面の前の読者の皆様の中にウマ娘をプレイされている読者様も多いであろう。かのゲームのストーリーの中、ウマ娘同士のイベントをよく調べてみると、そのウマ娘の元ネタの競走馬同氏から生まれた馬がいたりするものだったりする。そのように、競馬と言うのはブラッドスポーツであり、血と血を掛け合わせて次代に繋ぐものであり、名馬から名馬が生まれる事も往々にしてあるのである。

 

 

と、まぁこんな前置きはしているがこの作品には競馬の要素は何も関係ない。では何が関係あるのか。それは「最強×最強」という事である。

 

 最強と最強が手を組んだらどうなるのか。それこそがこの作品であり、主人公であるレイド(表紙左)とヒロインであるエルリア(表紙右)のカップルなのである。

 

千年前の世界で、物理最強である「英雄」と、魔法最強である「賢者」として対立する者同士として何十年にも渡りぶつかり合い。しかしエルフであったエルリアの突然の死により戦いは終わり、レイドは全てを捨てて振り切り彼女の葬儀へと駆けつけ、彼女の傍らで力尽き。

 

「―――久しぶり、レイド」

 

 その後千年が経過した世界。辺境の村で平民として生きていたレイドを、王族の傍系の家に転生していたエルリアが見つけ出し。魔法至上主義となった世界で魔法を使えぬが故に無能と扱われるレイドの扱いに納得がいかぬエルリアの提案により、彼は婚約者として魔法を使う者である「魔法士」を育成する魔法学院に通う事となるのである。

 

普通であればレイドは無能、しかし彼はエルリアが前世の力をそのまま持っていたように、彼もまた前世の力をそのまま引き継いでいた。それは圧倒的な物理最強の力。武器は何も使えずとも、徒手空拳で魔法すらも砕いて見せる。正に圧倒的な力を身に着けていたのである。

 

そんな二人は共に学院に入学し。教師相手にエルリアがその力を示し、更にはレイドも負けじと規格外の力を見せつけ。周囲を驚かせたり、学友を得たり。学院での生活を満喫しながら、今まで何も知らなかった者同士として、気の知れたやり取りを繰り広げながら絆を深めていく。

 

だがすぐに波乱は訪れる。試験の場に現れたのはかつての世界では二人も知る、だが今の世界では誰も知らぬ魔物。魔法士にとっては天敵であり、武器の無いレイドにとっては少しキツイ相手。

 

「レイド・・・・・・久々に、本気を出してみたくない?」

 

だが、今の彼は一人ではない。傍らにはエルリアが、かつての好敵手がいる。彼女により入学祝のプレゼントとして渡されたもの、それはかつての愛剣を魔法で再現した、在りし日のかつての相棒。

 

「こいつが―――俺の『本気』ってやつだ」

 

 その相棒を手に、レイドは本気の力を見せつける。かつてエルリアにも見せた事の無かった物理の頂点、その本気を。

 

しかし、まだこの世界には謎がある。かつてレイドの所属していた国の名が歴史には無い謎、エルリアの死の謎、そして今の世界には存在しない筈の魔物。まだ何もかもが始まったばかりなのである。

 

じれったいラブコメでありつつも、爽快な無双ものであるこの作品。甘さに悶えて心燃やしたい読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

英雄と賢者の転生婚 1 ~かつての好敵手と婚約して最強夫婦になりました~ (HJ文庫) | 藤木わしろ, へいろー |本 | 通販 | Amazon