読書感想:ある日突然、ギャルの許嫁ができた 1

 

 さて、「許嫁」、それも幼き頃からの、と言う存在は基本的にファンタジーレベルの存在なのかもしれない。許嫁、という要素があるラノベを挙げるならば、いくつか候補があると言う読者様もおられるであろう。しかし、最初から許嫁同士である、という場面から物語が始まることは滅多にない、それは何故か。私が思うに、それは最初から許嫁同士でラブラブであると、その後の物語が盛り上がらないから、だと思われる。

 

 

では「許嫁」、という要素が作品に絡む場合、その要素は何処で扱われるのか。その答えの多くとして、作中で明かされる、というパターンが多い。この作品もそのような場合に当てはまる作品なのである。

 

「ねぇねぇ、何でいつも寝たフリしてるの?」

 

休み時間になる度に寝たフリをかます、コミュ障な陰キャの少年、修二。そんな彼へといつも声をかけてくるギャル、美蘭(表紙)。文字通り住む世界が違う筈なのに、いつも何故か彼女は構ってくる。その真意を量り切れず、その間に美蘭の行いが要らぬ嫉妬を招き。DQNな連中からも絡まれると言う憂鬱な日々を送っていたある日、両親より衝撃の事実が告げられる。

 

 それは、自分には両親により決められた許嫁がいると言う事。その相手として現れたのは、なんと美蘭であり。あれよあれよという間に、彼の新しい日常が幕を開けていく。

 

何故彼女が許嫁なのかと戸惑う間に、彼女は手作り弁当持参で彼をお昼ご飯に誘いに来て。更にはデートの約束を取り付け、努力しようと陰キャラなりに頑張る修二をサポートし、寧ろ彼をリードし、彼の趣味に寄り添うかのように包み込み。更には降ってわいた、両家の両親による旅行の為の期間限定の同棲生活が始まり。彼女に振り回されながら、時に支えたりしながら。修二は彼女の本当の姿に触れていく。

 

 今までは住む世界が違っていると思っていた、でも彼女の本当を知った。彼女の事を大切になっていった、無くしたくないと思い始めた。変化する心は嫉妬と勇気を巻き起こし。BBQの最中に美蘭に絡むDQNな先輩に立ち向かう勇気を修二に与える。

 

「あたしら許嫁なんだよねー!」

 

その姿と勇気に美蘭もまた惚れ直し。彼女の親友達に事実を告白する一歩を踏み出させる。意を決して放った真実はあっという間に拡散し、二人の事を見る目を変えていく。

 

「あたしの許嫁になってくれて、ありがとう」

 

「俺の許嫁になってくれてありがとう」

 

 そんな変化の中、実は過去に既に繋がり合っていた二人の心はもう一度繋がっていく。確かな恋で結ばれていくのである。

 

弾けるような爽やかさと甘さが心地よい、真っ直ぐなラブコメとして光るこの作品。

 

真っ直ぐなラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはず絵ある。

 

ある日突然、ギャルの許嫁ができた 1 (オーバーラップ文庫) | 泉谷一樹, なかむら, まめぇ |本 | 通販 | Amazon