読書感想:冴えない僕が君の部屋でシている事をクラスメイトは誰も知らない

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 さて、この世界には「セフレ」、「ソフレ」なんて言葉がある。言葉の意味については、十八歳以下の読者様がこの感想を見ている可能性を考慮し敢えて何も言わないが、物凄く簡単にまとめ一言で言うのなら、「身体だけの関係」である。かつては不純、今の世ではそうでもないかもしれぬそんな関係。その関係から始まるのがこの作品なのである。

 

 

クラスの日陰者、佑希(表紙左)、日陰者ではないごく普通の少女、柚実(表紙右)。どう見ても接点がなく、クラスでも特段して関わりのない、ように見える二人。

 

『セックスする?』

 

 が、しかし。誰も知らぬ二人だけの秘密が彼等には合った。それは「セフレ」であるという事。柚実が佑希に囁いた何気ない言葉から始まった身体だけの関係。特に愛情もない、爛れた関係である。

 

避妊をきちんとし行為に励む、お互いが気持ち良くなるために。しかし、その関係に波乱が訪れる。佑希がコンドームを購入するところをクラスの人気者であるギャル、麻里花に目撃され。その気取らぬ、見ようによっては女慣れしているように見える態度が逆に興味を引いたのか、彼女がクラスでも関わってくるようになったのである。

 

 時に二人で本を選ぶ為に出かけたり、時に皆で出かけたり。特に裏の意味もなく真っ直ぐに佑希へとぶつかり絡んでいく麻里花。その様子は柚実の心に無視できぬ波乱を巻き起こし。更にはクラスという狭い世界の中の関係においても波乱を巻き起こしていく。

 

身体だけの関係であるはずなのに、愛なんて無いはずなのに。どうしようもなく気にかかる、心に無視できぬもやもやが立ち込める。時に不機嫌になったりしながらも、二人の関係を見守る柚実。

 

その裏、陰キャである佑希に人気者である麻里花が絡むと言う事態は興味と邪推を生み、それが心無い噂と嫌がらせと言う悪意に繋がっていく。

 

解決する為に、自分自身で動く事を選び佑希はクラスに誤解であると訴え、それが波紋を打ち消す波紋を生む。だがしかし、それは新たな波紋の鍵。彼の勇気ある様を見て麻里花の心に変化が芽生え。麻里花に懸想するイケメン、倉島と彼に懸想する少女、石山の心に連鎖的に波紋を生んでいく。

 

 時として恋は盲目、よもやよもやの怖い怖い。石山により柚実と佑希の間に新たな疑惑が立ち、石山からの接触を受けた柚実の行動が変化し。それぞれの心が芽生える中、佑希への呼び出しが全てを収束させていく。

 

「私、佑希のこと諦めないから」

 

だがしかし、収束しても尚、火種は収まらぬ。恋の火種が燃え上がり歯車を動かし。全ては戻れぬ一歩を踏み出していく。

 

リアルな感情とリアルな関係、生々しいにも程のある今作品。等身大のラブコメが好きな読者様は是非。

 

きっと貴方も満足できるはずである。

 

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