読書感想:俺のクラスに若返った元嫁がいる2

 

前巻感想はこちら↓

読書感想:俺のクラスに若返った元嫁がいる - 読樹庵 (hatenablog.com)

 

 さて、前巻で記憶の蘇りと、推しの漫画家を救うために共に行動した事で、再び絆を結ぶことに成功した航平と柚花の二人ではあるが。ここで画面の前の読者の皆様に問うてみたい。人が真に孤独になる時は、真の意味で死ぬ時は。果たしていつであるのだろうか。

 

 

それは、どこかのお医者様が言った通りに、「忘れられる事」。忘れられた時、全ての絆は終わると言うのなら、それは正しい意味でそうなのであろう。そして彼等は、過去の世界に舞い戻ってきている。つまりはもしその絆が亡くなってしまったのならば。それは正しく、この世界に孤独に放り出されるという事に他ならないのかもしれない。

 

「タイムスリップなんて、現実に起きるわけないんだから」

 

だがしかし、今巻ではそれが起きてしまう。柚花の父親からの連絡に挨拶を意識し不安にしてしまった事で。柚花は将来への不安から防衛本能として記憶を閉ざしてしまう。

 

記憶を取り戻すためにはどうすればいい、昭和の家電みたく殴れば治るわけでもない。赤羽先輩からのアドバイスを切っ掛けに、距離を取ろうとする柚花から何とか一日だけ貰い。二人の思い出の場所を巡る事で、もう一度絆を辿り。安心させるための決意の証を以て、記憶を取り戻すことに成功する。

 

これにて無事一件落着、といけば今巻のページ数は半分くらいで済んでいたかもしれない。だがそうはならないのはもう一つ波乱があるから。柚花の父親に気に入られるための努力を続け、それでも上手く行くかの不安に晒される航平が今度は記憶喪失になってしまうのだ。

 

「航平がいてくれるかぎり、あたしの幸せはずっと続くわ」

 

 

ならば今度は柚花の番。航平が支えてくれたように、今度は自分が支える番。大切なことは何なのか。答えは出オチが如くすぐそばに。ありのままを認めてもらう事、それだけだ。それがいい、それを認めさせるための若者らしい作戦をごり押しで承認させ、柚花らしいやり方で航平の記憶を取り戻させる。

 

 最初から心配はいらなかったのかもしれない。何故ならば二人はもう、一度切れた絆を結び直した事でより強い絆へと昇華させているから。喧嘩のような丁々発止のやり取りを繰り広げていても、それは愛の挨拶であり交換にしかならないから。

 

ならばやるべきことは一つ。その幸せを広げるだけ。お互いの家族まで巻き込み、幸せの輪を広げていく。未来に向かって本格的に走り出していく。

 

 

ならばもう、どんな未来が待っていても。きっともう大丈夫だろう。

 

前巻を楽しまれた読者様は是非。きっと貴方も満足できるはずである。

 

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